2007
今日も仕事先から、同僚を連れ帰ってきました。
家に着くなり放屁する同僚。
だらしない奴だなぁ。
人のよさそうな顔はしています。
が。
男には一切興味がない樹君。
同僚をほったらかして、せっせとスキル上げです。
生涯願望「プロのパーティーゲストになる」を目指して、日々の鍛錬は怠りません。
でもまあ、あの男も何かの役に立つかも。
そう思い直して、日が暮れてからようやく会話。
「お前、いくら持ってる?」
金の話かい。
でも、この人そこそこ持っているようです。
とりあえず、同僚への義理は果たしたので、また女の子に電話。
女の子といっても、相手は佐田家弘美ちゃんです。
「あ、弘美? 俺だけど……」
(がちゃ! ツーッツーッ……)
「……」
問答無用で切られました。
翌朝めげずにまた電話。
弘美ちゃんもママを亡くして、きっと寂しがっているはずです。
今度はちゃんと通じて、ご招待に応じてくれました。
「樹君! 久しぶり」
「弘美! お前大丈夫か? 聞いたぞ。お母さん亡くなったんだって?」
「そうなの……。はぁ……」
「俺でよかったら、力になるよ」
落ち込む弘美ちゃんを慰めます。
でも、どうしても下心がむくむくと湧き上がる樹君。
自分でも不謹慎だと思いながら、ふと顔を上げてみると……。
「あ……」
弘美ちゃんの叔父さん登場。
「あ、あれ? 叔父さんもいらっしゃってたんですか?」
「いや。犬の散歩でたまたま通りがかっただけだよ」
そんなこと言って。
本当は、姪が心配でついてきたんじゃないんですか?
麻美ちゃんがいなくなった今、親代わりになれるのは自分しかいませんもの。
叔父さんの登場で、ちょっと計画の狂った樹君。
とりあえず、二人には家に上がってもらうことにしました。
表に出たついでに、郵便ポストを覗いてみると、一通のラブレターが。
とはいえ、送り主の名前が書いてないので、誰からきたかは分かりません。
まあ、預かっておくことにしましょう。
弘美ちゃんと二人っきりで、二人の関係を修復したいと考えていた樹君。
計画が狂ったついでに、いっそ賑やかに弘美ちゃんを元気付けようと、大学時代の友達を招待しました。
圭君と修太君。
そしてイリーナちゃんです。
「皆で弘美を元気付けようって、あんたもたまにはいいこと考えるじゃない。てっきり抜け駆けすると思ってた」
「俺もそこまでひどい男じゃないさ……」
楽しいことには、おいしいものが必要です。
腕によりをかけて、ステーキの下ごしらえをする樹君。
でも、くわえタバコで料理するのはやめてくれ。
出来上がった料理で、食卓を囲みます。
大学時代の思い出話に花を咲かせる樹君達。
卒業したのはついこの間なのに、もうずいぶん昔のことのような気がするのはなぜでしょう。
「ほんとに、毎日飽きずに喧嘩ばかりしてたよね、圭君とランドリー・コーレイ」
「でも、レポートや課題ばっかりで大変な毎日だったよね」
「それより、樹の浮気が寮中の女の子にばれたときは、傑作だったなぁ」
あっ、その話題は、出来れば避けてほしい。
そう思う樹君。
イリーナちゃんは、弘美ちゃんの叔父さんと外のホットタブに浸かっています。
食後に、枕たたき。
弘美ちゃんに笑顔が戻ったようです。
彼女との恋愛関係は修復されないままに終わりましたが、少なくとも友達としてやるべきことはやった樹君。
やれやれと一安心です。
弘美ちゃんが元気になってくれたことが、何より大切なのですから。