2007
樹君の二度目の浮気が盛大に発覚した翌日。
弘美ちゃん、昨日の夜のことを思い出してはこんな顔をしています。
「樹君……、どうしてあんななんだろう」
「もう樹君なんか、知りません!」
弘美ちゃん、きっぱり。
「なんだよ、それ……」
この寮で樹君に残された女の子といえば、もう食堂のおばちゃんくらいしかいません。
「おばちゃん、今日は一段ときれいだね!」
「そうかしら。別に普段と変わらないと思うけど」
どんなことがあってもめげずに女子を口説く彼は、ロマンス願望の鏡なのかもしれません。
それにしても、樹君は本当にへこんでないのか。
すれ違う二人。
「つーん」
「ふーんだ」
樹君に怒っているのは、弘美ちゃんだけではありません。
他の女の子達もこのとおり。
樹君、下手に寮の中をうろつくと、いつ喧嘩を吹っかけられてもおかしくない状況に。
「樹のあの性格、どうにかならないものかしらね」
「樹はあんなだからな。更生させるのも苦労すると思うぜ」
先ほどの二人がなにやら心配していることなど、露知らず。
とりあえず、しばらくはおとなしくしていようと、本でも読む樹君。
「ぴっけ、お散歩しようか。誰かいい人いないのかなー。ほんと」
まだ一度も男の子とデートしたことない弘美ちゃん。
大学にいる間に、一回でもいいからデート出来たらいいんですけどね。
と、散歩をしていたら、またまた喧嘩です。
圭君とランドリー・コーレイ。
どうやら、今回は圭君が襲い掛かったようです。
血の気が多いな。
「どうだ! 思い知ったか!」
「いてー」
圭君が勝ちました。
さて、樹君の一件もあり、寮では落ち着けない五人組。
授業の合間に、またまたお出かけしました。
場所はダウンタウンのプール&スパ。
健康ランドみたいなところか。
早速プールに入ることにしました。
「わー、あったけー」
「温水プールだわ」
結構深そうですね。
弘美ちゃんも水着に着替えて……。
ほらほら、そんな顔するなって!
まだ樹君のことに怒っているのか、顔が怖いです。
「私、泳ぐのあんまり得意じゃないんだよー」
とか何とか言いながら、プールに入る弘美ちゃん。
ここ、飛び込み台はないんですね。
残念。
「久々に泳ぐかもしれないわね。気持ちいいわ」
「ここで泳いでると、嫌なこともみーんな忘れられるな!」
いや、君は忘れちゃいかんと思う。
「プールよかさー、あっちで遊ばない?」
あっち?
遊び好きの圭君が見つけたものはこれ。
エレクトリックダンスボール。
「へへへ。一回やってみたかったんだよな」
ぎゅいーんぎゅいーん
激しく回っています。
「うひゃーっ」
幸い振り落とされることはありませんでしたが、乗り終わっても星が頭の周りを回ってました。
「あー、頭がぐりぐりするー!」