2007
「お父さーん! たいへんたいへん!!」
「ん~。なんだぁ?」
学校から帰るなり、裕也君が駆け込んできました。
「じゃーん! A+!!」
「おお! すごいぞ裕也! さすが父さんの息子だ!!」
裕也君、日ごろの勉強の成果が出ました。
おめでと!
あ、マックスがまた粗相を……。
しかも、俊介さんのすわってる椅子にひっかけたし。
これはもしかして挑戦ですか、マックス?
「あーもう。マックスはしょうがない奴だな」
仕方なく俊介さん、お掃除します。
なかなか、おしっこを覚えてくれませんねぇ。
さて、今日は真鈴ちゃんと花梨ちゃんの誕生日です。
「とうとう私達も、一人前のレディーになるのよね!」
「ねー!」
まずはお姉ちゃんの真鈴ちゃんから。
よく見たらろうそくが九本刺さってますね。
九才ってわけじゃないんでしょうが。
きらっと光って、くるっと回って……、
はい成長。
ティーンになった真鈴ちゃんです。
そして、花梨ちゃんはこんな感じ。
二人ともロマンス願望にしました。
真鈴ちゃんの生涯願望は「殿堂入りになる」に対して、花梨ちゃんは「同時に20人の愛人を持つ」
これは、花梨ちゃんのほうが大物になりそうです。
「早速お着替えですのー」
花梨ちゃん……。
そっちの方向にも成長しちゃったんですか……。
真鈴ちゃんは、お得意のダンス。
小さいときから踊っていたので、だいぶ上手に踊れるようになってます。
真鈴ちゃんの服はこのままでもいいような気はするのですが、せっかくなので、
こんな感じにしました。
方向的には花梨ちゃんと同じですが、ちょっと違う路線で。
花梨ちゃん、着替えた後はすぐに、宿題を始めました。
それにしても、勉強机に向かってる姿がさまになりませんね。
「マックス、よしよし」
裕也君はマックスのご主人様になるべく、マックスにかまいまくる毎日。
俊介さんと真里恵さんはブランコしてました。
本当に、このブランコは大人ばっかりが使いますね。
そしてブランコの後は、成長した娘と小突きあって遊ぶと。
「さあ、花梨。お父さんに、どーんと打ちかかってきなさい」
「それじゃあ、遠慮なくいきますのー。えーい!」
ぺち
楽しいんでしょうか、この遊び。
娘と遊んだ後は、俊介さんが夕ご飯の支度。
真里恵さんは、まだブランコで遊んでるみたいです。
「あーあ。真里恵さんの方が料理が上手なのに。あたっ」
包丁で手を切りました。
そんな持ち方してるからですよ。
「痛いなぁ……」
大の男が指をくわえてる様は、かなり情けないものがあります。
そんな顔するなよ、俊介さん。
お父さん苦心のスパゲティーをほおばる娘。
「うまいうまい」
これからは、真鈴ちゃんと花梨ちゃんも、夕飯の手伝いをしてあげてね。
「はー。真里恵さんのポークチョップが食べたいなぁ」
真里恵さん、怠け者だから、難しいかもしれませんねぇ。
そんな感じで今日も忙しく働いた俊介さんなのでした。
2007
今日は休日。
子供達は朝からテレビです。
「うふふー。ボウケンレンジャーの中村知世ちゃんかわいー」
「ちょっと裕也! そんなとこに立ってたら、あたしが見えないでしょ!」
どうでもいいけど、まだそんなん見てるんですか、あんた達。
「よっ! はっ!」
真里恵さんは……。
もしかしてダンス?
「あ、そうそう。手紙見てこなきゃ……」
うわー!
そんな格好で外に出ないでくださいっ!!
さて、真鈴ちゃんはお友達を家に呼びました。
「ねーねー。数学の先生って、ちょっとカワイクない?」
「うんうん。彼女とかいないのかなー」
おしゃべりしてたら、俊介さんがブランコの背中を押してくれました。
こんなときまでサービスしなくていいったら!
花梨ちゃんもお友達を呼びました。
あの双子達です。
特に真治君とは仲良しですから……。
「うふふ、真治様。あのね、花梨お話があるんですの」
「え、え? 何、花梨ちゃん」
ちゅっ!
へっへっへ。
恋の奴隷、いっちょあがり……もとい。
かわいい恋人達の誕生です!
「あーあ。あたしも彼氏ほしー……って裕也! なに突っ立ってんのよ!」
裕也君、お風呂先に越されちゃいましたね。
早く出て行ったほうが身のためですよ。
花梨ちゃんに先を越された真鈴ちゃん。
遅れをとるまいと双子達に接触を試みますが。
真鈴ちゃん、真治君はもう売れちゃいましたよ。
花梨ちゃんは友達のためにいそいそと夕ご飯の支度。
「皆さーん! マッシュルームスープができましたのー」
真鈴ちゃんの友達は、早々とテーブルについてます。
皆で夕ご飯。
友達と一緒に食べるのは楽しいね!
「お姉ちゃん……。僕のは?」
「え? なに? 何いってるのかぜーんぜん聞こえなーい!」
真鈴ちゃん、またそんな意地悪しなくても。
裕也君の分は、いまお父さんが作ってますよ。
ということで、裕也君も無事に食卓につけました。
「お姉さん、僕、とっても野球がうまいんです。学校のエースなんです」
「ふーん」
どうでもいいけど、真鈴ちゃんのお友達、二皿目です。
よっぽどお腹がすいていたんだな。
この日は夜遅くまで友達とおしゃべりして、おやすみなさーい。
2007
ある朝のこと。
ついに裕也君がマックスのご主人様になれました。
これでもう、真鈴ちゃんにマックスを取られることはなくなりましたね。
仕事がお休みの俊介さん。
久しぶりにイーゼルに向かいました。
そういえば、絵で食べるのがこの人の夢だったっけ。
「俊介さん……。それ、白いキリン?」
うは。
道のりは、まだまだ恐ろしく遠いぞ!
そして、あの小さかったマックスが、とうとう成犬に成長!
これは、コリーでしょうか。
マックスに首輪を買ってやらなくちゃですね!
さて、花梨ちゃんは友達に電話。
「それじゃあ、ダウンタウンで待ち合わせですのー」
今日はデートです。
そして、やってきましたダウンタウン。
花梨ちゃん、その子……。
ファーストキスの相手と違うよ?
ついにロマンス願望の片鱗を見せてきた花梨ちゃん。
まずは一緒に写真をとりました。
ほとんど写ってないですね……。
それから、高校生らしくファミレスでお食事。
「お父様からお小遣いをもらったから、今日は私のおごりですの」
なるほど。
軍資金の出所はそこですか。
そして遠慮なく、ロブスターとフライドチキンを頼む二人。
この子、食べ方が汚いなぁ。
あ、イケメンさん発見。
すかさず花梨ちゃん、コンタクトを試みます。
「あ、せんせー……と思ったら、人違いでしたの。ごめんなさいです」
(うわー。すごい格好の子だなー)
地味に引かれてますよ。
ちなみに、デート相手のことも忘れちゃいません。
ちょっと口説けば、フォーリンラブ。
花梨ちゃん、二人目の彼氏ゲットです。
簡単に赤いハートが出たので、さぞかし相性がよかろうと、花梨ちゃんのことをどう思っているのか、男の子に聞いてみました。
すると。
「だっせー女! ありえねー!」
ちょっと待て。
さっきお前が出したハートは何なんだ。
(なんなんですの。この展開……)
本当になんだったんだろうねぇ……。
男の子とは、さっさとお別れして帰途につく花梨ちゃんなのでした。
2007
(花梨には負けられないもんねー!)
真鈴ちゃんも、デートをすることに決めました。
同じロマンス願望同士、競争心をあおられたようです。
お相手は、あの双子の片割れサトル君です。
無難な相手ですね。
高校生らしく、一緒にボーリングに行きました。
サトル君、ストライク!
この子、かなりうまいです。
さて、真鈴ちゃんは……。
「ぎゃう!?」
びたんっ
ボールと一緒に、あなたがレーンを滑ってどうするの。
もちろんガーター。
かっこ悪い真鈴ちゃん。
気を取り直して、お食事です。
サトル君、甘いものが好きな模様。
ベイクドアラスカを頼んでます。
「サトル君さー、いきなしデザートじゃ、お腹すくよ。あたしのサーモン、ちょっと食べる?」
「いいのかい?」
真鈴ちゃん、さりげなくサトル君に食べさせてあげました。
家じゃ絶対やさしいところを見せないあの真鈴ちゃんが!
淡い恋心キター!!
初々しくていいですね。
一昔前の高校生らしくって。
お食事をしたあとは、サトル君と別れました。
真鈴ちゃんは一人でナイトクラブです。
今日の喜びを、踊りで表現する真鈴ちゃん。
と、ナイトクラブに同年代の男の子が来ていました。
ロマンス願望ですから、男の子は漏らさずすかさずチェック!
……イモですね。
一人で何しに来てたんだろ、こいつ。
こっちのお兄さんなんてどうですか?
場違いなくらいにハイソな香りがしますね。
って、あ!
あのイモ高校生、きれいなお姉さんとツーショット!?
意外とやるな、こいつ。
特に何の収穫もなく、真鈴ちゃんはおうちに帰りました。
すると。
庭で遊ぶこの三人が……。
俊介さん、あなた子供ですか。
2007
お父さんが、仕事の同僚と称して、圭君を連れて帰りました。
さっそくブランコで遊ぶ圭君。
お父さんといい、軍隊関係の人は、ブランコ好きだったりするんでしょうか。
そして、お母さん。
背中押してあげるのはいいけど、その格好だけはやめて。
とりあえず、服を着替えさせて夕食を用意してもらうことにしました。
お客さんもいることだし、今夜はちょっと豪華に。
魚料理ですね。
塩コショウして……、
さあ、焼きましょう……えっ!?
フライパンが炎に包まれてますよ!?
「きゃあああ! 火事よー!!」
「あーっ! これは大変だわ!」
こんなときはまず落ち着かなくては。
火災報知機をつけているので、じきに消防車が来るはず。
「お魚が焦げちゃうわー!!」
なぜか火の中の魚を救出しようとする真里恵さん。
「だめぇっ! 火が強くて近づけないっ!!」
近づかなくていいったら!
そこへようやく消防車が到着。
颯爽と飛び降りる消防隊員。
一方の台所。
真里恵さんがおろおろしている間に、外にいた圭君が飛び込んできました。
「奥さん! 何がありましたか!?」
「うっわー! 火だぁーーー!!」
「なんだなんだ」
俊介さんもやってきました。
「二人とも、どうにかしてくださいな!」
「「だめだ! 火が強くて近づけない!!」」
シンクロする二人。
「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」
「み、水はどこだ……!」
「あちちっ」
役に立たないよ! この男ども!
やっとこさ消防士さんが到着!
「邪魔だからどいてくださいっ!」
「火がっ、火がっ!」
無事に鎮火。
真里恵さんたちも鎮火。
「いやー。すごい火だったなぁ」
「危ないところだったなぁ」
抱き合ってお互いの無事を喜び合う二人。
お前ら、一体何なんだ。
「次からは、気をつけてくださいね!」
注意の言葉とともに、消防士さんは去っていきました。
火事のことは何も知らない子供達。
焦げたお魚を食します。
「お母さん、ちょっと火力が強すぎたんじゃないのー」
「お母さん、がんばったんだけどね……」
「苦い……」
と、火事の一件ですっかり忘れていました!
裕也君が成長です!
「おぉっし! 大きくなったぜぃ!」
そういえば、幼児から子供に成長するときも、誕生祝い忘れていましたね。
その後家族と一緒に夕食を食べ始めるも、睡魔にノックアウトされてこのとおり。
誰も起こしてやらないんですか!
「はっ!?」
君はもしかしたら一生こういう運命かもしれないね……。
誰もいなくなった食卓。
片付ける人……いないんですか?
翌朝。
すっきり目覚めた裕也君。
鏡の前でおめかし。
「おお!? この角度、男前ー!」
「みんな! おはよっす!!」
女の子向けの挨拶の練習。
「うーん……?」
力こぶ、出てないから……。
髪形を変えてみました。
おお? うってかわって、ミステリアスな美少年風じゃありませんか。
そして成長した裕也君。
まず一番にやったことといえば、
喧嘩。
「くぉのっ!」
「ぶっ!」
当然相手は真鈴お姉ちゃん。
「弟の癖に生意気だっちゅーの!」
「なんだとー! このーっ!!」
どかすかどかすか
「どうだ! まいったか!」
「うっそー」
なんと、真鈴ちゃんが負けました。
「これに懲りたら、もう僕を馬鹿にするなよっ」
ティーンに成長して、やっと真鈴ちゃんと対等になった裕也君です。
でも喧嘩はたいがいにしてよ。
家庭内暴力になっちゃうからね。
「ううっ。くやしいっ」
弟に負ける屈辱。
意外とこたえるものです。
いつかこのうらみ晴らしてやるぞと、心に誓う真鈴ちゃんなのでした。