2007
店の扉が女子トイレのドアなので、男性客は入れません。
やってきた男性客は、たいていなすすべもなく、店の壁に飾ってある太陽を、ボーっと眺めているだけです。
こちらはティンカー家の奥さんですかね。
ようこそお越しくださいました。
外の男性客がまた増えてる。
後で追い払っておかないと。
「はい、できましたよ」
「わあ、これが私!?」
髪型はそれぞれの個性だと思うので、メイクと眉毛だけいじりました。
前よりこぎれいになったんじゃない?
お店になにやら、他のお客さんとは違う雰囲気の人。
どうやら、雑誌のレポーターのようです。
彼女に媚びておけば、お店のいい紹介をしてくれるんですが。
プレイヤーは今までこのレポーターに、悪い記事しか書いてもらったことがありません。
なんとかして、こいつをギャフンとさせたいものの。
牛の着ぐるみを売りつけるか、変顔メイクをさせるか。
どちらかにしようと、セールスしてみました。
「最新流行のMooMooファッションとか、最先端のメイクとかに興味はないですか?」
「そうねー」
「え? 金持ってないの?」
出直して来い、レポーター。
スカンピンレポーターはうっちゃって、お仕事お仕事。
「若々しくしてちょうだい」
「はいはい。それでは、春を先取りするメイクにしましょうか」
失敗じゃないですよ。
成功ですよ!
かわいらしいピンクのルージュを、唇に塗りたくってみました。
外には男性客が三人も溜まってます。
店の仕事が一段落したら、追い払っておかないと。
翌日。
あら、おばちゃんまた来たの?
昨日メイクしたばっかりなのに。
昨日のが気に入らなかったのか、昨日来たのを忘れてしまったのか。
「キュートでクールな感じにしてくれる?」
「はいはい。承知しましたよ」
「こんなもんでどうでしょ」
「すてき!」
このお客さんはとっても美人なので、後日仲良くなるために電話をかけときましょ。
この間失敗した人が、またやって来ました。
「責任とって、前よりずっときれいにしてちょうだいよ」
「今度は大丈夫ですよ。そんな気がするんです」
今度はきれいになりました。
ついでに、黒縁めがねも縁なしにして、軽やかな感じに。
「あら! やればできるじゃない」
「ね、俺いい腕してるでしょ、お嬢さん」
「ほんとにアンタ大丈夫? なーんかモグリっぽいんだけど」
「なに、そこらの免許持ちより、ずっと実力はありますよ」
なにしろ、もう少しでブロンズバッチを取れるくらいになってますからね。
これくらいちょちょいのチョイ!
うわ……。
ごめんなさい。
2007
今日も今日とて、女性たちにより美しくなってもらうために、樹君は働きます。
「私、どうもメイクは苦手で」
「任せてください」
「あら!」
「前より目鼻立ちがくっきりして、綺麗になりましたよ」
ワン家のパトリシアさんも、こんなになりました。
「あんた、ほんとに大丈夫ー?」
大丈夫だって。
そんな顔しないで下さいよ。
ほらね。
こうして、樹君の手により、リバーブロッサム・ヒルズの女性たちは、少しずつきれいになっていきます。
ほとんどのNPCはノーメイクなので、メイクしてあげるだけでも見違えてくれます。
また男性客と、いつぞやの穴掘り犬が店の前にたむろしていました。
全員まとめて、お帰りいただきます。
おや、今日はゴス家のベラさんが来てくれました。
相変わらずお美しい。
でも、もっと綺麗にしてあげますよ。
「あ……」
「あ、って言った? 今、あって言った!?」
ごめんなさい。
また……。
なんだか、失敗続きですねぇ。
店の外に溜まっていた男性客が、水風船投げをして遊んでました。
ついでに、あの穴掘り犬もいます。
全員まとめてさようなら。
特に穴掘り犬とは、叱って追い払ってばかりいたので相当険悪な仲になっています。
今日は久々に店を休み、またいつもの恋人探しです。
「井戸さーん。今度もかわいい女の子を頼みますよ。熟女でもオッケー」
こんな感じの女子大生が現れました。
この子も、いじり甲斐のありそうな顔してますね。
女子大生と仲良くなった後、また女の子に電話。
といっても、こちらは大人な女性です。
女海賊、アレクサンドラさんです。
まずは軽く、ロマンチックに抱擁。
はい、すぐに恋に落ちました。
電話で仲良くなっていましたからね。
海賊な彼女は、とってもたくましいです。
樹君だってこのとおり。
軽々とお姫様抱っこです。
あ……。穴掘り犬。
自宅まで追ってきたのか。
ところで犬と険悪な仲になると、やっぱりゴミ箱を倒したりの嫌がらせを受けたりするんでしょうか。
犬は放っておいて、またまた井戸でロマンス探求。
一日にお願いはひとつと思っていたのですが、一定時間をおくと、また願えるようになっていました。
しかし、敵対関係にある犬に、無防備なお尻をさらすのは、ちょっとこわい。
噛み付かれそう。
あ……。
女泥棒が落ちてきた。
泥棒とも、ロマンス。
リバーブロッサム・ヒルズにきて、ゲットした恋はまだまだ8つです。
樹君のロマンス人生は、まだまだ続きます。
2007
「う~、さぶさぶ」
春も半ばになったというのに、まだ雪がうっすら残っています。
竹中家独身所帯。
「今日もよろしく頼みますよ、井戸さん」
朝も暗いうちから、井戸にお願い。
早起きしたのまでは、いい心がけだったのにねぇ。
いい心がけ……。
あっ……!
「何この井戸。ばあさん吐き出しやがって」
出てきましたよ、ミセス・クランプルボトム!
ハンドバック攻撃、バスバスッ!
「朝っぱらから、井戸にみだらなお願いをしたのは、お前かい!? この悪党め!」
「み、みだら!?」
樹君の場合は、ミセスに責められても仕方ないと思いますけど。
「年寄りに口答えする気かい!? あんたの親も、草葉の陰で泣いてるよっ!」
「え、ちょ……草葉の陰!?」
バフッバフッ!
挙句の果てに。
「口で言っても分からないバカは、お仕置きだよ!」
「わーっ!!」
襲い掛かられました。
「わりゃー!」
どかすか
「このこのこの」
べちべちべち
な、なんと!
樹君の勝利!!
「最近の若い者は……。年寄り対する敬意が足りないよ!」
ミセス、捨て台詞。
朝っぱらから一騒動ありましたが、樹君、今日も元気にお店へ出勤です。
「おっと、シートベルト、シートベルト」
お店の前に男性客がいたので、即お帰りいただきました。
「ここ、女性専門なんで……」
お店を開けると、早速弘美ちゃんが来てくれました。
「この間の服どうだった?」
「とてもよかったわ。だから、また来たの」
一点お買い上げ~。
「レジ打ち、ちょっとだけ早くなった?」
「だろ?」
「でも、ちょっとだけね」
弘美ちゃん、また来てね。
こちらはメイクのお客様。
「明るく華やかな感じにして」
「了解っす」
「本当にうまくできた~?」
「できてるっすよ!」
お望みどおりに……て、そんな顔したら、せっかくのメイクも台無しですよ!
あ……。
穴掘り犬がまた来てる。
よく来るな、本当に。
「さわやかな感じに」
「はい、了解です」
さわやかというより、シュールになりました。
「ちょっと、何自分で驚いてるのよ……」
お代は結構です。
そのころの穴掘り犬。
また掘ってる~っ!!!
2007
ビューティサロン・樹は、今日も元気に営業中。
「一名様、ご案内~」
「私、自分でメイクしたことまだないの」
「はいはい。お任せください」
まだ若いお客さんです。
「ほら、きれいになりましたよ」
「ほんと~?」
ナチュラルメイクにしておきました。
仕事の合間に、穴埋め作業。
「くそ~。あのバカ犬! 今度穴掘ったら、あいつを穴に埋めてやる!!」
穴掘り犬は、もはや樹君の宿敵。
こちらは……。
あ、この間失敗したお客さんですね。
今度は大成功。
見違えました!
後日、口説いてもいいですか?
「今のメイク、ちょっと野暮ったい感じがして……」
「アイシャドーをちょっと変えれば、見違えますよ」
この人、はじめっからメイクしてますね。
NPCじゃないのかな……。
口紅も真っ赤に変えてみました。
……まあ、いいんじゃないでしょうか。
多分。
あーーーーっ!
また掘ってるーーーー!!!
「犬鍋にして、食っちまうぞコラ!!!」
さすがの樹君も、ぶち切れました。
犬、我かんせず。
今度のお客さんは。
ロス家のサンドラちゃんですね。
「彼氏が、もうちょっとメイクを変えてみたらって」
「あーなるほどね。じゃあ、かわいい系にしてみようか」
あ……。
「かわいくなった?」
「さっきの見てたけど、あんた本当に大丈夫?」
「大丈夫ですって。ほら、バッチだって持ってるでしょ」
ブロンズだけどね。
ほらね、大丈夫だった。
でも、お客さんは鏡を見るまで半信半疑。
はい、いらっしゃいませ。
あ、この人、ガーデニングクラブの会長さんですね。
抑え目のメイクです。
ガーデニングだけあって、ナチュラルな感じに。
お客さんがあんまり来なくなったな、と思ったら、表に溜まってた。
野郎なお客様には、早々に引き取っていただきます。
はいはい、いらっしゃいませ。
男性客を追い払ったので、女性客が来てくれるようになりました。
こちらは、ブルーウォーター村のデルローザさんでしたっけ?
すでにメイクしてますが、もうちょっと華やかにしてあげますよ。
ほらね、綺麗。
おきゃくさんって、鏡見せるまで、ずっと半信半疑な顔してますよね。
あら、畑山さんちの奥さん。
いじる所、ないよな……。
結局どこもいじりませんでした。
「奥さん、今で十分いけてますって」
「ほんと~?」
ガーデニングクラブの……。
昨日の夜来たじゃん!
「あの……。前の気に入らなかったっすか?」
それとも、前に来たのを忘れてるとか。
せっかくなので、おばあさんっぽい顔になるようにシワを添付しました。
前の年齢不詳顔よりは、ましになったかと。
2007
今日も穴掘り犬がやってきました。
犬といったら、こいつしか来ないなー、ほんと。
「穴掘ったら、お前も埋めてやるからな」
この間失敗したお客さんが、来てくれました。
「あなたも懲りない人ですね……いや、いらっしゃいませ」
今度は大成功!
名誉挽回ですね。
「いらっしゃいませ……って、おばあちゃん、また来たの? これで三回目ですよ……?」
「なにが?」
すでに頭がやばいようです。
「ありがと」
もう変えるとこ、どこもないですよ。
でもまた来そうだな、このばあちゃん。
こちらは……、ラマスワミさんちの奥さんだったかな?
「落ち着いた感じにしてくださる?」
「はい、了解です」
うわ……。
何かを間違っちゃってるインディアン?
またきたときに、直してあげますね……。
在庫補充。
「どうも、最近腕が鈍ってきてるなぁ……(隣のお客さん美人ー!)」
「春を先取りするメイク」
「承知しました」
うわちゃー。
またこれか!
「……!!」
「何見て驚いてるの?」
まーたー、穴掘り犬ーーーー!!!!
うきーーーーーーっ!!!!!!!!
お前、しつこい!!
しかもまた、穴掘ったーーーーーーーーー!!!!
「今度来たら、絶対鍋の実にしてやる……」
次のお客様は。
中嶋さんちの奥さんですね。
「キュートな髪型ですね」
「ありがとう」
「はいできましたよ」
「どうも」
ちょっとだけ、口紅を変えてみました。
がに股で店内を見回すお客さんが、一人。
なんと、佐武結衣ちゃんがお店に来てくれました!!
「おーおー。よく来たな、結衣。どうだ? 欲しいもんあったら、何でもやるぞ、タダで」
「えー? そうも行かないよー」
いそいそと接客。
「ママがね、素敵なお店だから、見ておいでって」
「くぅー、嬉しいこと言ってくれるじゃんかよ」
結局、結衣ちゃんは見るだけで帰っちゃいました。
いらっしゃいませ。
こちらのご婦人は、オットマス家のおばあちゃんだったかな。
どこも変えなかったけど、なぜかおばあちゃん、大喜び。
まあ、喜んでもらうのが一番です。
お店を終えて、家に帰ってきた樹君。
早速井戸にお願い。
今度は、ちゃんと叶えられたようです。
こんな子が落ちてきました。
大学生ですね。
結構な確立で、大学生が落ちてくるな。
この子にも、ちゃんとお化粧してあげましたよ。
こうして、少しずつNPC達を生まれ変わらせてあげるのです。
「樹さん、お化粧上手ね」
「だろ?」
この後もちろん、ウフフをいただきました。
男のロマンス願望ってのは、どうしても生き方に幅を持たせにくいんですが、こうして女の子達をきれいにしていく生き方というのも、いいかもしれませんね。