2007
「……人妻って方が燃えるかもな……」
弘美ちゃんが結婚してしまってから、なんとなく面白くない樹君です。
しかし、その発言は不穏ですよ!
じっと鏡を見つめても、そこにいるのは自分ひとり。
一人暮らしだから当たり前。
そんな事実が、時にはちょっぴり身にしみる今日この頃。
ということで、人を呼びました。
大学時代、寮の食堂で皆のご飯を作ってくれてた食堂のおばちゃんです。
出迎えて、口説いてみたら、あっさり恋に落ちました。
年下の男が好みですか?
お年寄りなので、あったかいホットタブにご案内。
お湯に浸かりながらのんびりと世間話でもします。
もっとも、世間話だけでは終わらせないのが樹君です。
すすっと近づいて、いい感じに。
この後、ご老体にしっかり奉仕して、お帰りいただきました。
「仕事が休みの日は暇でしょうがねえな……」
ある程度スキルもあげちゃってるので、女の子を口説くことしかやることがありません。
テレビ見てもつまんないし。
そこで、ちょっと刺激的なお嬢さんを呼ぶことにしました。
日が暮れて現れたのはこの方。
吸血鬼のウェンディ伯爵夫人です。
以前会った時から電話をこまめにかけて仲良くなっていたので、口説き落とすのは簡単でした。
樹君、寝室で襲われる。
いえ、これは吸血鬼嬢に「ブラーッ! と言われる」です。
なんなんでしょうね。この行動アイコンは。
どうやら威嚇されて脅かされたようです。
と、お嬢さん、目から怪光線。
これは……、樹君、危ないよ!
ガブッ!
噛まれました。
樹君、喜んでいるようにも見えますが……。
案外気持ちいい?
「ううっ!?」
なにやら体がひとりでに引きつって……
樹君も吸血鬼になりました。
これでお嬢さんと同じお友達♪
ブラーッと言い合って親睦を深めます。
吸血鬼は普通のベッドでは安眠できません。
そこで、買いました。
棺おけベッド。
和風建築の樹君の家には、恐ろしくミスマッチですが。
翌晩、この人を家に呼びました。
出会いサービスのおばちゃんです。
「どうも」
「おやまあ、あんたいい顔色ねぇ」
「吸血鬼を治すには、この一本! よく効く薬だぞえ~」
「じゃ、それ下さい」
吸血鬼の生活を楽しむ前に、治す薬を買っておきます。
これでいつ何が起きても、すぐにもとの体に戻れるので安心。
せっかくおばちゃんを呼んだので、ブラインドデートも頼んでみました。
落ちてきたのがこの女性。
「おばちゃん、もっとかわいい子頼むよ」
ピンクの女性には、失礼ですがすぐにお帰りいただきました。
次に落ちてきたのはこの女性。
あっ、カスタムキャラだ!
珍しいこともあるものですね。
樹君も彼女が気に入ったようです。
「それじゃあ、後は若い二人に任せようかねぇ」
おばちゃん、サンクス。
いざ、お話しようと思ったら。
夜が明けて朝日が射し込んできました。
「うわーっ! 体が灰になるー!」
「あんた、大丈夫?」
大丈夫ではないので、女の子とはさよならして棺おけに逃げ帰る樹君なのでした。
吸血鬼は夜は無敵だけど、昼は弱すぎですねぇ。