2007
ある朝のこと。
「あら? 手紙が来てる」
「ピンクの封筒? ラブレター?」
「きゃー。どうしよう。誰からかしらっ!」
……それ、樹君に来た手紙なんですが。
樹君の玄関先には、もう一匹の影が。
ころ「くうーん(おやつ頂戴!)」
通行人「なにこの犬。耳の立ってるゴールデンレトリーバー!?」
通行人「変な犬!」
そのままスルーされる、ころ。
「うん。そうそう。だからさー……」
樹君が朝風呂のあと、女の子に電話をかけていると、いつの間にか背後にすごい笑顔で立っている人が。
弘美ちゃんです。
玄関に鍵かけてなかったのね。
「びっくりしたなぁ。ところで、こんな朝っぱらから、何の用?」
「なんのって……」
「どうしようっ!! 実は私、家出してきちゃったのよーうっ!! 今日は真美の誕生日だって言うのにー!!!」
「おおお、落ち着けって! とにかく、飯にしよう、飯」
「ぐすん……」
通り過ぎる弘美ちゃんのあとから、
「……犬? 犬も弘美について来たのか?」
そりゃあ、ころのご主人様は弘美ちゃんですから、ついて行くのは当たり前です。
って、こら!
おとなしく弘美ちゃんのあとをついていったと思ったら、すかさず破壊活動を始めました。
弘美ちゃんの家にいる間は、こんなことしない子だったのに!
住む環境が変わったから、ストレスでも感じていたんでしょうか。
色々やってるうちに、日が暮れました。
夕ご飯の支度です。
「で、何で家来たの? だんなと喧嘩でもしたの?」
「違うわ……」
「大学時代は、勉強で大変だったわよね」
なかなか本題に入らない弘美ちゃん。
「あのさ……」
「ええっと……。迷惑だったかな……」
「俺はこんな生き方してるから、別にいいんだけど。お前は違うんじゃないか?」
「そう思ってたんだけど……」
「ふーん。大学時代、私があげたバラの花束、寝室に飾ってくれてたのね」
「ああ。……俺はお前を思いとどまらせるべきかなぁ」
「どっちかって言うと、俺はあんまり厄介ごとは背負い込みたくない方だからな。分かってる?」
「いいわよ。厄介ごとはみんな私が引き受けるから」
「マジですか」
「あなたに会いたくて家出してきたのに、会うとどうも決心が鈍るって言うか。あなた、口を開くとろくな男じゃないわね。だまって突っ立ってるだけなら、まだましなのに」
「人のこと言えた義理かよ」
「そうね……」
さて翌日です。
弘美ちゃんに、携帯から電話がかかってきました。
夫のかなた君からです。
「ごごご、ごめんなさいっ。帰ります! すぐに帰りますぅ!!」
「え? 今どこにいるかって? えーとうーんと……」
「……大学時代の元彼の家……」
・・・
電話が切れました。
変なところで正直な弘美ちゃん。
電話をかけた直後のことです。
案の定……。
「うええ~。気持ち悪……」
弘美ちゃんが朝ごはんを作ろうとすると、ちょうど冷蔵庫の食材が切れていました。
なので、先に朝食をとっていた樹君の残り物を食べることに。
妊婦は下手すると、餓死の危険がありますから。
「あー。まいったなぁ。まいったなぁ……」
「もぐもぐ。まだそんなこと言ってんの?」
「私やっぱり、ママの娘だったんだわ。好きな人は好きだし。でも、結婚向きの性格じゃないわよね……。いまさら気づくなんて」
「……ほら、そこだ! シュートー!!」
樹君はスポーツ番組に逃避。
「今のうちに、物件を探しとこう……。でも、その前に、かなたさんと話さなきゃ」
電話で頼んだ食料が配達されてきました。
愛想のいい配達員、めちゃくちゃ笑顔です。
もっとも樹君は何もかも上の空ですが。
彼が台所の勝手口から家に入って、冷蔵庫に食料品をつめているうちに……、
弘美ちゃんが玄関から出て行ってしまいました。
「おい、ちょっと待てよ。どこに行くつもり?」
「帰る」
「ちょっとちょっと!」
慌てて後を追いかけますが、弘美ちゃんは振り返りもしません。
ころを連れて、弘美ちゃんは来たときと同じように、さっさと帰っていってしまいました。
直後に樹君に電話。
冨美枝さんからです。
すごいタイミング。
「今、取り込み中だったんですけど。え? 演奏ですか。今はそんな気分じゃないんですよ。店には飲みに行きたいんですけどね……」
その後、どうしても落ち着かない樹君。
家に仕事でやってきたメイドさんを、いつものように口説いてみました。
淡い恋心が点灯。
でも今日はなんだか虚しい……。
そのとき、なんとなくメイドさんのメイクが気になった樹君。
鏡台でメイクをしてあげました。
サービスシムなので、髪型はそのまま。
メイドのケイリーンさん、なかなかお綺麗になりました。
弘美ちゃんと樹くん、とうとう来るところまできちゃったという感じです。
かなたさんはどうなっちゃうんだろ。
見守るしかできないのがじれったい!
プレイしている方も、なんだかかなた君に申し訳なくて。
いつか弘美ちゃんも樹君もかなた君も、それぞれの幸せを見つけていってくれるといいのですが。
でも、弘美ちゃんたちの更新の方は、しばらく停滞するかもしれません。
3月22日に新しいデータセットが発売されて、シムズの世界に季節が訪れるようになるんです!
なので、データセット待ちです。
弘美ちゃんにはぜひ、若いうちに季節の移り変わりを楽しんでもらいたいので。
気をもたせるようで、すみませんです~。
三月末には季節の情緒も加えて、弘美ちゃん家族の更新を復活させますね。