2007
圭君です。
バンドを再結成させた彼。
今度は自分自身の夢、「将軍になる」を叶えるために圭志君をコーチに猛特訓。
「圭ー、がんばれよー」
「ひいひい」
「思い出すなぁ。昔もこうやって、麻緒を鍛えてやったもんだよ」
「父さん! ちょっと休んでいい?」
「まだだめだ!」
「鬼~」
すてん!
「あいたたた。くそう……」
ピーッ!
「圭、何をやっとるか! もう三十周がんばれぃ!」
「ええーっ!?」
「まったく。わが息子ながら情けないのう。わしの若い頃は……。若い頃はどうだったかの……」
自分に都合の悪いことは忘れる圭志君。
圭君の家にも、生まれたての命があります。
海里君の息子、潮君です。
圭志君には、また甥。
成長した潮君は、お父さんの海里君にそっくりでした。
「まさか、潮の成長までこの目で見れるとはなぁ。海斗に自慢してやろう」
潮くんに言葉を教える圭志君。
そんな圭志君、運命の日には、たくさんの友達を呼びました。
久しぶりに彼自身もバンドに加わります。
弘美ちゃんがベースを先にとってしまったので、圭志君はドラム。
さすが圭志君。
熟練したテクニックが光ります。
そんな彼も、やがて静かにスティックを置きました。
お迎えの時間です。
「やれやれ。わしもとうとうか……」
そうして旅行かばんを手にとって、ゆるやかな天国の調べにのって、圭志君は静かに旅立っていきました。
「ううっ……。圭志叔父さん……!」
麻美ちゃんの時には、気丈にも涙を見せなかった麻緒ちゃん。
でも、このときばかりは涙です。
小さい頃から面倒を見てくれた、もう一人の父親みたいな人でしたから。
落ち込む圭君を、修太君も励まします……?
「圭。大学優等で卒業して、おめでとう」
「んあ? あ、ありがとう……」
修太、こんなときになんでその話題なんだ。
麻緒ちゃん、スティックを握って、大好きだった叔父さんにひと打ち捧げます。
圭志君も、バンドの再生やまた甥の成長を見届けて、さぞかし満足だったでしょう。
翌日、圭君達はプリーザントビューのはずれにある墓地へとやってきました。
そこに圭君は、圭志君の墓標を置きます。
海里君も、自宅に置いていた両親のお墓をしかるべき場所に設置……。
って、おい!
墓標の向きが違うったら!
まあいいや。
後できちんと置きなおすことにしましょう。
最後に皆で圭志君の冥福を祈り、墓地をあとにします。