2007
ぱんだに餌やり。
最近、忙しさに流されて、これを忘れてしまうことがよくある。
ごめんね、ぱんだ。
勇樹さんは、お風呂場で春日に言葉を教える。
おや、須々木さんの義理の娘さんだ。
あなたも、子供がお腹の中にいるのね。
家の前に、古い新聞が溜まっていく。
私が片付けなきゃ、誰も片付けない。
しょうがないわね、まったく。
「春日、大きくなったらママと一緒にテニスしようね」
「あい!」
またお腹がおおきくなった。
忙しい毎日。
でも、月は確実に満ちてくる。
お腹の子供は待ってくれない。
明日の春日の誕生日は、色々忙しくなりそうだ。
あ、大怪獣春日がお目覚め。
すぐにいきますよ。
春日の誕生日には、また親族一同をご招待。
賑やかな方がいい。
あ、犬が我が家のゴミ箱を破壊中。
ちゃんとしつけてくださいよ。
たしか、一番上の姉さんとこの犬だ。
さあ、ろうそくを吹き消して、春日ちゃん成長!
私の小さいときとそっくり!
パパの遺伝子の存在が、感じられません。
春日ちゃん、早速いとこのお兄ちゃんとダンス。
「えへへー。大きくなったらこれがやりたかったんだー」
仲が良い。
あ、陣痛が……!
分かっちゃいたけど、誕生パーティーのさなかに!?
ギャラリーが多すぎます。
と、生まれた……。
二人目は、あっけないほど簡単。
勇樹さんも緊張感なさすぎ。
妻の出産を尻目に、夕ご飯ですか?
しかもステーキ……。
二人目も女の子。
五月(さつき)と命名。
疲れのあまり、私はたったまま寝てしまう。
甥と姉がそばで心配してくれたけど、どうせなら、私をベッドまで運んでいってください。
ダウンした私の変わりに、姉はさつきにミルクを飲ませてくれた。
ありがたい。
テーブルには勇樹さんの食べ残し。
彼、どこに行ったんでしょう?
さつきは、きっとパパ似。
美人になるかな。
さつきの肌色は、私のものでも、勇樹さんのものでもない。
どうやら、私の父に似たらしい。
隔世遺伝。
私の中には、しっかりと両親の血が流れていたのだ。
いまさらながら、それを強く感じた。
身軽になって、私は仕事に復帰。
家のためにお金を稼ぐって、すばらしい。
ママは、はりきっていっぱい稼いできたよ。
帰宅後すぐに、さつきのおもり。
でも、ミルクを飲ませた後すぐに、高い高いをしたのはまずかった。
春日の宿題も見てやる。
本当に、体がひとつでは足りないくらいだ。
勇樹さんは、夜のお仕事で忙しいようだし……。
「ぱんだちゃん! 私は春日。仲良くしようねー」
ぱんだにも、新しい遊び相手ができた。
「ねえ、ママ。どうして家のパパだけ、いつも夜にお仕事に行くの?」
「昼はママが働いてるからよ」
勇樹さんのお仕事は、子供には言わない方がいいかしらん。
現在の勇樹さんの職業は、夜盗……。
「そっかー。うちは働き者夫婦なんだねー。もがもが」
娘よ、手まで食べるのはやめなさい……。
2007
子供達を勇樹さんに任せて、久しぶりにダウンタウンへ向かうことにした。
ダウンタウンの野良猫にご挨拶。
久しぶりのボーリング。
大学卒業以来だっけ。
腕は衰えていなかった。
あ……。
シドだ。
シドに声をかけようとしたら、ミセス・クランプルボトムに説教をされた。
「なんだいあんた! 所帯持ちの癖に、他の男に声をかけたり何ぞして!」
いえ、まだ声はかけてませんが……。
「他の男に声をかけるなんぞ、堕落の第一歩だよ!」
そんな……。
頭、おかしいんじゃない? とかやってみた。
むしゃくしゃしたときは、お掃除をするのが一番だ。
シドが食堂で食事をしている間、私はボーリング場の厨房でひたすら皿洗い。
ウエイターが、食べ終わった後の皿を下げに来ないのだ。
私がやらねば、誰がやる。
シド……。
またベークドアラスカを頼んでる……。
先ほどのミセスは……。
あ、ボーリングやるんだ……。
すごい格好です。
ミセスを見ていたら、シドがさっさと食事を終えて、出て行ってしまった。
残念。声がかけられなかった。
でも、その方がよかったのかもしれない。
久しぶりに一人でレストラン。
本当に久しぶりだ。
たまには一人になるのも、悪くない。
そっか。
学生時代の私は、ずっと一人だったんだ。
そういえば、今日はさつきの誕生日だ。
このおもちゃ屋で、おもちゃを買って行くことにする。
どれにしようかなー。
ええい。
全部買っちゃえ!
レジに誰もいない……。
辛抱強く待っていたら、ようやくおじいさんが現れた。
でも、レジ打ちはもっと遅かった。
レジで腹打ち。
そういえば、私は学生時代、この人の夢をよく見ていたような気がする。
なぜだろう。
帰りがけに、この店に寄ってみた。
「パブねもす」
須々木さんちの義理の娘さんが経営してると聞いた。
こじんまりとしてなかなか良い雰囲気。
カードテーブルもあるし、今度勇樹さんも一緒に来てみるといいかも。
でも、子供が小さいうちは、二人そろって外出は無理かな。
ちょっとだけ。
ゲームでもうけたら、勇樹さんにも何かお土産を買って帰ろう。
2007
春日ちゃん、成績はどうでしたか?
「パパ! A+とったよA+!!」
残念。
パパは電話中。
なかなか構ってあげられなくてごめんね、春日。
子供が二人いると、本当に大変。
さつきの誕生日。
恒例の、一族集合。
さつき、成長。
……こ、これは……!
慌てて修正。
うん。
こっちの方がかわいいね。
それにしても、君はパパそっくりね。
さっそく、お誕生日プレゼントのミスターレンガで遊ぶさつき。
これは、びっくり箱。
「きゃっきゃっ!」
プレゼントは、気に入ってもらえたようですね。
ちょっと油断してたら……。
火事です!
春日!
危ないから、火の近くに行かないで!
とんだ災難。
火を見て泣き叫ぶさつき。
ごめん……ごめんね……!
ママがいけないの。
あの火事以来、体の調子を崩してしまったよう。
もう昼なのに、ベッドから起きられない。
春日がトイレ掃除をしてくれた。
なんて気のつくいい子。
体調が不調のまま、どうにかさつきの話し方と歩き方のお稽古。
最後におまる。
何とか次の誕生日までに、すべてを教え込めた。
「春日、宿題終わった?」
「明日やるー」
やれやれ。
もうちょっとこの子の面倒も見てやらなくちゃ。
ぱんだも、このところ全然構ってやれなかった。
ごめんね。
春日と仲良くしてくれてた?
どうやら私は、日常に少し疲れているみたい。
今度の休日は、ベビーシッターを雇って、勇樹さんとダウンタウンへ出かけてみようか。
2007
樹君、寮の女の子と世間話。
その話題は……。
麻美ちゃんのことですか?
ハートを一杯飛ばしてます。
と、女の子のほうもハートを一杯飛ばしてました。
好かれているようですね、弘美ちゃんのママ麻美ちゃん。
「こう天気いいとさー。課題なんて投げ出して、外へ遊びに行きたくなっちゃうよねー」
弘美ちゃんは朝食。
樹君、今度は別の女の子と会話中。
相手の望みを聞いてみました。
「コーレイを口説く」
おや、樹君。
この子はもう好きな人がいるみたいですよ。
恐れを聞いてみました。
「弘との恋が冷める」
すでに恋してましたか。
この女の子。
樹君、それでもこの子を狙うつもりです。
それがロマンス願望の定め。
はい、この通り。
ちょっと魅了したら、淡い恋心が来ました!
一方イリーナちゃん。
授業から帰るなり、植木の手入れを始めました。
「こんなに伸び放題になってるのに、何で誰も剪定しないのよ! ったく、うざいわねっ」
きれい好きなイリーナ様。
手入れが終わったら、黙々と課題を消化。
優等生の鏡かもしれません。
弘美ちゃんは昼ごはん。
あ、食堂のおばちゃん、またくさった食事をくばったな……。
夜は皆でテレビです。
一人だけ真ん中で勉強してますが。
翌日は朝っぱらから喧嘩。
またこの二人、ブーイ・ジャスミナとランドリー・コーレイです。
本当に仲が悪いな!
「ジャスミナ! がんばれ!」
「が、がんばれ!」
当然のように女の子を応援する樹君と、とりあえず応援してみる圭君。
何気に二人、シンクロしてます。
しかし、応援するくらいなら加勢してあげなさいよ。
ジャスミナは女の子なんですよ。
あーあ。
あたりまえというかなんというか、ジャスミナが負けました。
さて樹君。
またまた別の女の子とおしゃべりです。
恐れを聞いてみました。
「圭に口説く行為を拒否される」
ええー!?
この子、圭君が好きなのか?
嫌いなものを聞いてみました。
「あんた筋肉質! だめ! 生理的にだめ!」
樹君しょんぼり。
身体のスキルをあげるのに、相当体を鍛えちゃったもんね。
弘美ちゃんはのんびりと学期を消化中。
でも、せっかく大学に入ったんだから、なにかしないと、ねえ?
と、樹君が弘美ちゃんに話しかけてきました。
「弘美ちゃんさあ、キスしたことある?」
「ええー! きす? したことないに決まってるじゃない!」
「ふつー、ティーンで経験済みなんじゃないの?」
「そ、そういうもんなの?」
「なんなら、俺と今してみる?」
ええ!?
あっ!
「い、いまのが……? (ドキドキ)」
弘美ちゃん、そんな簡単にファーストキスをあげちゃって。
もったいない……。
しかも弘美ちゃんだけに、淡い恋心がきてるし。
「ファーストキスって、やっぱり胸がキューンとなるよなー」
「う、うんうん……!」
樹君の手管に簡単にはまった弘美ちゃん。
パパの弘君が今この場にいたら、樹君は絞められちゃいそうです。
そして、火がついたのは弘美ちゃんのハートだけではありませんでした。
食堂のキッチンにも火がつきました。
火事だーーーっ!!
「私のママはね、超一流のロマンス願望なのよ。父親の違う子供を三組も持ってるんだから」
弘美ちゃん、ママのことを話している場合ではないですよ。
ていうか、自慢するような内容ですかい。
「あー。でも、ファーストキスしといてよかったー。このままキスもせずに、大学を卒業するかもしれないところだったもんね」
よかったのかなぁ。
とはいえ、この寮の中で一番まともな男子は樹君だけな気がしますね。
他にはあのランドリー・コーレイと短パンとおかっぱくらいだもんね。
キスをするなら、樹君が一番まし……かもしれない。
2007
朝早くに期末試験。
弘美ちゃん、寝巻きのままで試験ですか。
無事、全員合格。
それにしても、五人中三人が寝巻きのまま試験を受けに行ってたなんて。
そして修太は早速……
「じゃ、レポートよろしく!」
「任せてちょうだい」
引き受ける方も引き受ける方ですよ……。
「レポートよろしくー」
え!?
弘美ちゃんもですか!
ところで、弘美ちゃんが鳥飼いたい鳥飼いたいとうるさかったので、鳥購入。
名前は、ぴっけ。
えさやりを忘れずにね。
廊下のステレオに音楽が流れていたので、二人でダンス。
それにしても、いい加減着替えてほしいよ、弘美ちゃん。
軽くキスしてみたら……、
樹君にも淡い恋心がきた!
これで両思いですか。
でも樹君、すぐに他の女のこのところに行っちゃいました。
「裁判ネタ、ありえなーい!」
駄目だしされてますが。
また別の女のこのところへ。
「秘密だけど、イリーナってさ~」
ゴシップですか。
「親友なくしたらしいよ」
「ええ、うっそー」
君達、そんな話してると、後が怖いよ。
恋愛とか、あんまり関係ない二人。
食堂で枕たたき。
勢いあまって、圭君が壁にめり込んでますが。
修太、将来の嫁さん探しはどうした。
ぐずぐずしてると、皆樹君にとられてしまうよ。
イリーナちゃん、黙々とレポート。
「へっくしゅ! 誰かうわさしてるのかしら……」
(まだ枕たたきやってるよ。あの二人……)
弘美ちゃんも、まだ鳥をかまってました。
「ぴっけー! かっわいい!」