2006
大学を卒業して、一戸建てを購入した。
ここで今日から新しい生活が始まる。
ぱんだも一緒。
だから、独身女性の独り暮らしとはいえ、さみしくはない。
寮で使っていた家具を一式持ってきたので、私の部屋は暮らしなれた雰囲気のまま。
まだちょっと、学生気分が抜けない。
引越しの挨拶に、ご近所さんがやってきた。
彼らの中にも、私の運命の人はいないみたい。
一緒に食事をする。
でも、内気な私には、人付き合いはけっこう難しい。
今後も、彼らといい関係を築いていけるのだろうか。
そして今日も、私はダウンタウンへ向かう。
でも今日は、一人ではない。
この間仲良くなったドンと、シム付き合いだ。
彼とはいいお友達……、でありたいと思っている。
でも、ドンファンな彼相手に、そんなこと可能だろうか。
いや、派手好きな彼には私など興味の対象にはならないだろう。
この晩も、ひとしきり談笑しただけで別れた。
家に帰ってきて、ベッドに向かう。
今夜も、ダウンタウンで運命の人には出会えなかった。
でも、明日だってある。
そして、引っ越し祝いに来たお客さんは、一体いつ帰ってくれるのだろうか。
翌日。
引越し二日目だ。
そろそろ仕事のこととかも考えなくてはいけない。
仕事を始めれば、学生時代のときほど、ダウンタウンに出かける機会は少なくなるだろう。
それでも、行ける限りは行こうと思う。
ダウンタウンは、人と人が出会う場所だから。
2006
俺は堀川勇樹。
大学を中退して、独り暮らしをしている。
今就いている仕事は、すり。
将来は犯罪の黒幕になるのが夢だ。
むろん、仕事のとき以外の俺は、怪しいところなどない、いたって普通の男だ。
仕事から帰れば、ひとっ風呂あびて、
ダウンタウンのカードハウスに足を向けるのが日課だ。
「あー! 堀川君、今日も一人で来てるー!」
「ははっ。いい男でも同伴してくりゃよかったか?」
仕事の後のいっぱいは格別。
ん? なんだあれは。
見慣れない客がいる。
地味で暗い印象の若い女だ。
少し場違いな気もする。
少し興味を覚えたので、話しかけてみる。
「テレビゲームとかって、やります?」
何でいきなりそんな子供じみた話題を選ぶんだ、俺。
あ、耳をふさがれてるし。
どうもこの女との相性は、最悪みたいだ。
たとえて言うなら、雷マークにバッテンくらいか。
いや、これはたとえではないな。事実だ。
でもまあせっかくなので、カードゲームに誘ってみた。
「カフェ前の辻占い、結構当たるって評判みたいですよ」
「占いといえば、私小さい頃はよく花占いをしてました」
「なつかしいわね。タンポポでやるとあれ、きりがないのよね」
俺はゲームはそれほど強いほうじゃない。
彼女もこのカードゲームは初めてのようで、いっぱい負けていた。
ん? もうやめるのか。
悪いことをしてしまったかな。
彼女はゲーム台を離れてバーのほうへ立ち去った。
しかし何でそんな席に座るかな。
そこ、隣に席がないじゃないか。
どうやら、あまり人には接したくないらしい。
その後、帰りがけにまた一言二言、彼女と言葉を交わした。
ゲームには興味なくても、どうやら幽霊には興味があるらしい。
変わった女だ。
2006
朝です。
マックス君、空腹で起きてきました。
「待ってろよー。今ご飯をやるからな」
仕事で朝の早い俊介さんが、マックスのご飯をあげます。
うん?
どうやら真鈴ちゃんも起きていたようです。
ブランコで遊んでいました。
さて、ご飯をもらったマックス。
しかし。
(ドックフードは食べ飽きたワン)
だめですよ。
ちゃんとドッグフードを食べなくちゃ。
早起きの真鈴ちゃんが朝食をとる頃、花梨ちゃんも起きてきて、電話です。
「そうですの。家族みんなであそびにきてほしいんですの」
今日は、花梨ちゃんのお友達真治君達を呼んで、家族ぐるみのパーティーを開くことにしたのです。
もちろん、新年パーティー。
さあ、お友達がやってきました。
真治君の家族には、ちょっと変わったのもいるようです。
サーボロボットですね。
お母さん達は、ブランコをこぎながらおしゃべりを始めました。
花梨ちゃんは真治君と枕たたき。
おや、花梨ちゃん、よそ見をしている。
その視線の先には……。
んげ!
シムとロボットとの禁断の愛が……。
真鈴ちゃんもこの光景を見て、
「ねーねー。ロボットとのキスの味ってどんなかなー」
「鉄くさいんじゃない?」
真治君の双子の兄弟、サトル君とおしゃべり。
おませな真鈴ちゃん。
「うわー、かわいいなー! 家も犬がほしくなっちゃったよ」
マックスもお客さんにかまってもらって、このとおり。
そのとき、河内家の前に不審人物が。
ご近所に住むシニアバンドのベース担当、堀川圭志君です。
「あー! 新聞取ったー!」
圭志君、白昼堂々新聞泥棒です!
こらこら。
「うしゃしゃしゃしゃ!」
走り去る圭志君。
「新聞ドロボー!!」
子供達、悪い大人を目撃してしまいました。
君達はあんなことしちゃいけないよ……。
さて、真鈴ちゃん。
「あんたのせいで新聞取られちゃったじゃないの!」
「えー! 何で僕のせいなのーっ!?」
また弟いじめてる。
「うわーん!! 真鈴お姉ちゃんのいじわるーっ!」
あーあ。
また泣いちゃった。
2006
裕也君、サトル君と一緒にテレビを見始めました。
裕也君はまだ同い年のお友達がいなかったので、このパーティはいい出会いになりましたね。
花梨ちゃんは、まだお外で真治君と遊んでいました。
この二人、もしかしてなかなかお似合い?
そしてサーボロボットは人の家にきても、てきぱきと雑用をこなしてくれます。
これは便利!
さて、お昼過ぎになって、俊介さんが仕事から同僚を連れて帰ってきました。
テレビを見ていた裕也君が走ってきてお迎えです。
「裕也、ただいまー」
「お父さん! 真鈴お姉ちゃんがまたいじめたんだよう!!」
泣きつく裕也君。
「ゆ、裕也……」
なんて顔をしてるんですか、裕也ちゃん!
相当悔しかったみたいですね。
当の真鈴ちゃんは、マックスをかまっています。
「マックスー。泣き虫裕也なんかより、あたしと一緒にあそぼーね!」
裕也君、このまま行くと、マックスまでお姉ちゃんにとられてしまいますよ!
さて、お母さんがお昼を用意してくれました。
皆でご飯です。
人数が多いと、食事も楽しいですね!
お父さんはブランコで遊び同僚の背中を押してあげてます。
シム達、本当に好きですね、ブランコ。
と、いつのまにか庭に巨大な水溜りが!
これは……。
たしかこのへんにマックスがおしっこをしていたんですが、いくらなんでもこんなに大量には……。
って、真鈴ちゃん! 犯人はあなたですか!!
どうやらマックスのおしっこでできた水溜りを、はねちらかしてあそこまで広げたようです。
勘弁してよー、真鈴ちゃん。
花梨ちゃんはまだ真治君と、「警察と泥棒」で遊んでました。
本当に仲がいいですね。
「ううっ、やられたー。化けて出てやるー」
「やったー! 犯人射殺ですのー! これで裁判いらずですわ!」
問題刑事、花梨ちゃん。
真里恵さんはサーボロボットに取り入ります。
「へーえ。本当によくできているわねー。サボ恵って名前なんだー」
「@:+%&#*」
ここで仲良くなれば、毎日家に来てもらって家事をしてもらえますね!
ぐうたら主婦、真里恵さんです。
俊介さんも、新しいお友達作りです。
「普通のお仕事もしながら、サロンを経営してるんですかー。たいへんですねー」
「いんや、まだ店の方は小さいんで、なんとかなってますよ」
あ……。
食べてる最中に、食べ物が腐りました。
そんなの食べ続けてると、お腹を壊しますよ。
とはいうものの、俊介さんはちょっとくらい悪いものを食べても大丈夫そうな気がする。なんとなく。
他のお客さんもお腹をすかせているようだったので、真里恵さんに夕ご飯を準備してもらいました。
今夜のおかずはポークチョップです。
真里恵さん、お料理を必死に勉強した甲斐がありました。
「ねーねー、花梨は真夜中まで起きてられる自信ある?」
「ありますのー。花梨も皆と新年を迎えるんですのー」
そういえば、新年パーティーはもう始まっているのに、タイムのおじいさんは来ませんね。
どうしたんだろ。
夜も更けてきて、お客さんもお疲れのようです。
勝手にベッドにもぐりこんで寝てました。
と、タイムのおじいさんいた!
こんなところにいた!
しかし、いくらなんでもこんな区画の端っこにいなくてもいいじゃない!
午前0時。
ドパーンとタイムのおじいさんはベイビーニューイヤーに変身!
年が明けました。
そして年が明けるなり、家の中に戻る人々。
ベイビーニューイヤーは放置ですか?
その後ベイビーは誰にも注目されることのないまま、フェードアウト。
ご苦労様です。
「あら、もう年明け? なんかぐだぐだな新年パーティーだったわね」
お母さん! それを言っちゃあ、だめっすよ。
2006
今日も気持ちのいい朝。
仕事に就いた。
外食業でファーストフードのオーナー。
料理が得意な私には、この職種が一番向いていそうだ。
仕事から帰ってきたら、まず一番に、ぱんだにごあいさつ。
ただいま、ぱんだ。
その後は、身内や数少ない友人達に電話をかけてすごす。
翌朝。
仕事は夕方からだから、昼の間に、またダウンタウンに出かけてみようか。
ダウンタウン。
今日は、いつかのブラインドデートの相手とデートすることにした。
池のほとりのカフェで、ごはんにする。
景色がきれいで、いかにもデート向きの場所だ。
私はライム風えびのたたきを注文し、彼、シドはベイクドアラスカを頼んだ。
甘いものが好きらしい。
「ところでシドさんは、どこにお住まいですか?」
「ブルーウォーター村です。静かできれいなところですよ。よかったら今度遊びに来てください」
食後。
だいぶ、いい雰囲気。
彼の望みを聞いてみた。
「僕犬を飼ってるんですよ。ボルソスってんですけど、こいつがお手を覚えてくれたらうれしいな」
どうやら彼の頭の中は、私よりも犬のことでいっぱいのようだ。
相当の犬好きらしい。
時間も遅くなってきたことだし、彼と別れて、カフェを後にした。
いい感じのデートだったと思う。
その後、私は一人で、「ラッキーシャック カード&ドリンク」へ向かった。
ダウンタウンのたいていのところは行きつくしている私だが、カードハウスだけには、まだあまり足を運んでいない。
私はゲームにはほとんど興味がない。
それが理由。
この前初めてここに来た時も、ゲームに誘われたのはいいが、負けまくってしまった。
なのになぜ私はまたここに来たんだろう。
そうだ。
ここはいろんな人が、よく集まるからだ。
私の上の兄が来ていた。
せっかくなので、一緒にゲームをする。
「兄さん、ここにはよく来るの?」
「うん。仕事を引退してから、自由な時間をもてあましちゃってねぇ。ここは時間をすごすのにいい場所だよ」
兄と会えたのはうれしいが、私はまたしても大負けしてしまった。
このゲーム台さえなければ、この店は私にとっていい店になるのに。
家に帰ってきたら、牛がいた。
いつの間に上がりこんだのだろう。
そしてその晩、シドがこっそりバラの花束を玄関先に持ってきてくれた。
こっそりといっても、私はしっかり目撃してしまったが。
あくまでも、彼はこっそりのつもりらしい。
私も見ない振りを決め込むことにした。
彼が帰った後、私は外の望遠鏡で星空を眺めた。
こう見えても、超常現象やSFには目がないのだ。
そして就寝。
私はこのまま、彼と付き合いを続けていけばいいのだろうか。
でも、まだ運命の人には出会っていない。
そんな気がする。