2007
夜の公園も、なかなか雰囲気があっていい。
一人で来ても、なんだか楽しい。
あ、ドンが来ている。
シドも来ていた。
今夜は知り合いが多い。
シドに望みを聞いてみた。
「晴美を口説く」
彼は私のことを気に入ってくれてるようだ。
その後彼は、私をそっちのけで、公園をうろついていた野良犬にかまい始めた。
本当に犬好きだ。
ドンに望みを聞いてみた。
「パーティーをする」
華やかなのが好きな人らしい。
シドは犬に夢中なので、ドンとダウンタウンで遊ぶことにした。
とはいっても、もう夜は遅い。
食事だけを一緒にすることにした。
私もうかつだ。
よりによってドンファンと名高い彼と食事を共にするとは。
いつの間にかこんなことになって……、
私はドンと恋に落ちた。
婚約者のいる人と。
食事が来た。
ドンもシドと同じ。
ベイクドアラスカが好物のようだ。
食事の後、ドンと別れた。
これ以上一緒にいると、どうなるか分からない。
その後私がなんとなく足を向けたのは、この場所だった。
「ラッキーシャック カード&ドリンク」
この店には、今日もいろんな人が来ている。
吸血鬼に、派手な顔面メイクの人。
私の姉も、恋人と一緒に来ていた。
相変わらず仲がいい。
私も、迷いのない恋がしてみたい。
帰り際、私もシドのように、野良犬と一緒に遊んでみた。
でも私は、やっぱりぱんだがいいな。
2007
2007
2007
今日もダウンタウンへ向かう。
自家用車を手に入れてから、行動がしやすくなった。
仕事が休みの堀川さんとデート。
と、あそこを通りかかったのは……。
ドン?
「これはどういうことだ! 僕というものがありながら!」
これはまずい。
私、彼に浮気したことになるの?
平手打ちを食らった。
なぜだ。
彼だって、婚約者に浮気してるくせに!
こんな状況なのに、どうして二人とも、笑って私を見るんですか?
「僕は彼女と一緒に遊んでるだけですよ」
「なんだ。ただの友達づきあいだったのか」
私は殴られ損ですか。
ドンと別れた後、堀川さんに好みを聞いてみた。
「筋肉質なのはだめかな」
また筋肉か……。
彼の望みを聞いてみた。
「君を口説いてみていい?」
突然何を……。
あんなことがあった後で。
思い切って、私のことをどう思うか聞いてみた。
「その黒髪いいね」
手をつないでみたら、
あっさり恋に落ちてしまった。
とりあえず、この日はすぐに別れた。
翌日、仕事から帰ると、玄関先にバラの花束が置いてあった。
堀川さんからだ。
「叔母さん、この花束誰から? 案外隅に置けないね」
たまたま訪ねて来た甥に見つかってしまった。
ばんだに、ただいま。
それにしても、困ったことになってしまった。
私には、シドがいるはずなのに。
肝心のシドには、まだ淡い恋心しか抱いていないというのに。
すでにドンと堀川さんを好きになってしまった。
こんな状況になるなんて、誰に予想がついただろうか。
一人でダウンタウンをさまよっていた頃が懐かしい。
たった一人の人が、現れてくれればいいのに……。
もう、運命の人とか待っている場合ではなくなった。
とりあえず、私のこの筋肉をどうするか考えなければ。
2007
堀川さんに「一緒に遊びに行かないか」と誘われたので、行ってみることにした。
堀川さんが、私に恐れが何かと聞いてきた。
「ドンとの恋が冷める」
もう一度、恐れはなにかと聞いてきた。
「勇樹と一緒に遊ぶことを拒否される」
私はまだ、誰か一人に心を決められないようだ。
彼が自分のことはどう思っているか聞いてきた。
「そのカスタムヘアがすてき」
私は堀川さんの髪型が好きだ。
他に好きなところはないんだろうか、私。
しばらく話した後、近くのブティックへ。
「ちょっと服を買うのに付き合ってほしかったんだ」
と、堀川さん。
でも、私にはあまり服のセンスはない。
「これなんかどうかなぁ……」
すごい。
ハイファッションな服を着こなす彼が、うらやましい。
「晴美さんも、服を買う? 俺も見てみようか」
「いえ、私はいい……」
私に一番にあってるのは、多分今の服だと思うから。
「ところで、晴美さんの苦手なものって何?」
「筋肉……かな」
聞かれて初めて気がついた。
私も筋肉が苦手だったらしい。
これはもう、筋肉を落とすしかない、のかな。
昼過ぎ。
今度はレトロな雰囲気のレストランへ。
「晴美さん、よく旅行とかってする? 俺は仕事柄新幹線にはよく乗るんだけど、あんまり旅行はいけなくってさ」
「私も、大学卒業してからは旅行は行ってないかなぁ」
食事が来た。
私はいつものライム風えびのたたき。
堀川さんはリブだった。
「ベイクドアラスカとかはお嫌いですか?」
「甘いものは苦手なんで。でも、なんでベイクドアラスカ?」
私が付き合っている人はあなた以外、皆ベイクドアラスカが好物だったもので。
「えびだけじゃ、腹が膨れないんじゃない? 俺の食う?」
「えっ!?」
堀川さんがフォークを伸ばしてきたので、慌てて口をあける。
うーん。
こんなことをしていると、本当に私達は恋人同士みたいだ。
いや、実際恋人同士なのだが。