2006
彼と朝食。
こうして一緒にご飯を食べられるのも、これで最後。
私の卒業を祝って、一緒に乾杯した。
すると不思議なことに、私の中の彼への淡い恋心が消えてなくなってしまった。
彼のほうはどうだったんだろう。
彼とは、今後もよき友として付き合い続けていきたいと思う。
そして今日も、私へダウンタウンへ向かう。
やってきたボウリング上で、野良犬と遊ぶ。
この犬も、だいぶなついてきた。
今度芸でも教えてみようか。
運命の人!?
と思って話しかけてみたら、違った。
この人は、すでに所帯持ちらしい。
この間ブラインドデートで出会った彼の話で、盛り上がる。
この人も彼のことが好きらしい。
私がハートを飛ばしてないのに対して、この人はたくさんハートを飛ばしていた。
夜も更けてきた。
卒業もしたことだし、今夜は贅沢なレストランで食事をしよう。
学生時代最後の外食だ。
ロンドステのバーで、お酒も飲んだ。
いすが全部ふさがってて、立ち飲みだったけど。
そして、とうとう寮に帰ってきた。
私の学生時代もこれで終わる。
と、手紙が来ていた。
この間の、5000$をつぎ込んだブラインドデートのお相手からだ。
私の初デートの相手でもある。
彼は運命の人じゃなかったけど、手紙をもらえるとうれしいな。
また今度会ってみようか。
ぱんだは、所持品の中に入れて連れて行けばいいことが分かった。
ぱんだ、これからもずっといっしょだよ。
最後に、寮の大掃除をする。
私がやらなければ、誰もやらないから。
そして、立つ鳥あとを濁さず、だ。
四年間過ごしたこの部屋ともお別れだ。
卒業パーティーなんてがらじゃない。
電話をしてタクシーを呼んで、そのままプリーザントビューに帰ろう。
大人に成長した私。
この服は……!
ある意味、ダウンタウンに通いつめた私にはふさわしいかもしれない。
こうして私は、大学を後にした。
2006
大学を卒業して、一戸建てを購入した。
ここで今日から新しい生活が始まる。
ぱんだも一緒。
だから、独身女性の独り暮らしとはいえ、さみしくはない。
寮で使っていた家具を一式持ってきたので、私の部屋は暮らしなれた雰囲気のまま。
まだちょっと、学生気分が抜けない。
引越しの挨拶に、ご近所さんがやってきた。
彼らの中にも、私の運命の人はいないみたい。
一緒に食事をする。
でも、内気な私には、人付き合いはけっこう難しい。
今後も、彼らといい関係を築いていけるのだろうか。
そして今日も、私はダウンタウンへ向かう。
でも今日は、一人ではない。
この間仲良くなったドンと、シム付き合いだ。
彼とはいいお友達……、でありたいと思っている。
でも、ドンファンな彼相手に、そんなこと可能だろうか。
いや、派手好きな彼には私など興味の対象にはならないだろう。
この晩も、ひとしきり談笑しただけで別れた。
家に帰ってきて、ベッドに向かう。
今夜も、ダウンタウンで運命の人には出会えなかった。
でも、明日だってある。
そして、引っ越し祝いに来たお客さんは、一体いつ帰ってくれるのだろうか。
翌日。
引越し二日目だ。
そろそろ仕事のこととかも考えなくてはいけない。
仕事を始めれば、学生時代のときほど、ダウンタウンに出かける機会は少なくなるだろう。
それでも、行ける限りは行こうと思う。
ダウンタウンは、人と人が出会う場所だから。
2006
俺は堀川勇樹。
大学を中退して、独り暮らしをしている。
今就いている仕事は、すり。
将来は犯罪の黒幕になるのが夢だ。
むろん、仕事のとき以外の俺は、怪しいところなどない、いたって普通の男だ。
仕事から帰れば、ひとっ風呂あびて、
ダウンタウンのカードハウスに足を向けるのが日課だ。
「あー! 堀川君、今日も一人で来てるー!」
「ははっ。いい男でも同伴してくりゃよかったか?」
仕事の後のいっぱいは格別。
ん? なんだあれは。
見慣れない客がいる。
地味で暗い印象の若い女だ。
少し場違いな気もする。
少し興味を覚えたので、話しかけてみる。
「テレビゲームとかって、やります?」
何でいきなりそんな子供じみた話題を選ぶんだ、俺。
あ、耳をふさがれてるし。
どうもこの女との相性は、最悪みたいだ。
たとえて言うなら、雷マークにバッテンくらいか。
いや、これはたとえではないな。事実だ。
でもまあせっかくなので、カードゲームに誘ってみた。
「カフェ前の辻占い、結構当たるって評判みたいですよ」
「占いといえば、私小さい頃はよく花占いをしてました」
「なつかしいわね。タンポポでやるとあれ、きりがないのよね」
俺はゲームはそれほど強いほうじゃない。
彼女もこのカードゲームは初めてのようで、いっぱい負けていた。
ん? もうやめるのか。
悪いことをしてしまったかな。
彼女はゲーム台を離れてバーのほうへ立ち去った。
しかし何でそんな席に座るかな。
そこ、隣に席がないじゃないか。
どうやら、あまり人には接したくないらしい。
その後、帰りがけにまた一言二言、彼女と言葉を交わした。
ゲームには興味なくても、どうやら幽霊には興味があるらしい。
変わった女だ。
2006
今日も気持ちのいい朝。
仕事に就いた。
外食業でファーストフードのオーナー。
料理が得意な私には、この職種が一番向いていそうだ。
仕事から帰ってきたら、まず一番に、ぱんだにごあいさつ。
ただいま、ぱんだ。
その後は、身内や数少ない友人達に電話をかけてすごす。
翌朝。
仕事は夕方からだから、昼の間に、またダウンタウンに出かけてみようか。
ダウンタウン。
今日は、いつかのブラインドデートの相手とデートすることにした。
池のほとりのカフェで、ごはんにする。
景色がきれいで、いかにもデート向きの場所だ。
私はライム風えびのたたきを注文し、彼、シドはベイクドアラスカを頼んだ。
甘いものが好きらしい。
「ところでシドさんは、どこにお住まいですか?」
「ブルーウォーター村です。静かできれいなところですよ。よかったら今度遊びに来てください」
食後。
だいぶ、いい雰囲気。
彼の望みを聞いてみた。
「僕犬を飼ってるんですよ。ボルソスってんですけど、こいつがお手を覚えてくれたらうれしいな」
どうやら彼の頭の中は、私よりも犬のことでいっぱいのようだ。
相当の犬好きらしい。
時間も遅くなってきたことだし、彼と別れて、カフェを後にした。
いい感じのデートだったと思う。
その後、私は一人で、「ラッキーシャック カード&ドリンク」へ向かった。
ダウンタウンのたいていのところは行きつくしている私だが、カードハウスだけには、まだあまり足を運んでいない。
私はゲームにはほとんど興味がない。
それが理由。
この前初めてここに来た時も、ゲームに誘われたのはいいが、負けまくってしまった。
なのになぜ私はまたここに来たんだろう。
そうだ。
ここはいろんな人が、よく集まるからだ。
私の上の兄が来ていた。
せっかくなので、一緒にゲームをする。
「兄さん、ここにはよく来るの?」
「うん。仕事を引退してから、自由な時間をもてあましちゃってねぇ。ここは時間をすごすのにいい場所だよ」
兄と会えたのはうれしいが、私はまたしても大負けしてしまった。
このゲーム台さえなければ、この店は私にとっていい店になるのに。
家に帰ってきたら、牛がいた。
いつの間に上がりこんだのだろう。
そしてその晩、シドがこっそりバラの花束を玄関先に持ってきてくれた。
こっそりといっても、私はしっかり目撃してしまったが。
あくまでも、彼はこっそりのつもりらしい。
私も見ない振りを決め込むことにした。
彼が帰った後、私は外の望遠鏡で星空を眺めた。
こう見えても、超常現象やSFには目がないのだ。
そして就寝。
私はこのまま、彼と付き合いを続けていけばいいのだろうか。
でも、まだ運命の人には出会っていない。
そんな気がする。
2007
私の朝は、ぱんだにご飯をあげることから始まる。
その後、私も朝ごはん。
昼だけど、望遠鏡を覗いてみた。
お向かいのモティマーさんのドアップを見てしまい、驚く。
それにしても良い家だ。
家具も高そうに見える。
はっ、いけない。
これでは私はただの覗きだ。
一度しか会ってなかったはずなのに、河内さんちの旦那さんが、よく電話をかけてくる。
女性の一人暮らしを心配してくれてるらしい。
だからと言って、独身女性によく電話をよこしてくることも、どうかと思う。
仕事から帰ってきたら、まっさきにぱんだにただいまのご挨拶。
これは学生時代からちっとも変わっていない習慣。
そして今日も、私はダウンタウンへ。
まずはレストランで夕食。
あ、ドンが来ている。
声をかけようか……。
結局声はかけずに来た。
ブティックによって、ちょっと服を見てみる。
私ももう少し明るい装いにすれば、新しい出会いが来るかもしれない。
ちょっと試着……。
どうだろう。
うーん……。
やっぱりなんだか似合わない。