2007
弘美ちゃん。
一人お部屋で課題です。
机の上には、小さい頃、パパと一緒にとった写真。
もう二度と、家族がそろうことはないのです。
「あーあ……。何で樹君はあんなに浮気ばっかりするんだろう……」
どうやら弘美ちゃん、自分こそが樹君の彼女だと信じて疑ってない様子。
家族願望の彼女にとって、恋はすなわち愛なのです。
初恋の人が未来のパートナー。
家族願望は、この思い込みが強いのです。
そりゃ確かに、樹君はパパと同じロマンス願望ですけどね。
今日もまた、ランドリー・コーレイとブーイ・ジャスミナがやりあってます。
もう本当に、日常に溶け込んでしまいましたよ、この喧嘩。
イリーナちゃんは寝巻きのまま、カリカリ日記を書いていました。
意外とマメなんですね。
圭君は……。
電気ブザー。
本当にいたずらが大好きなようです。
あんまりやりすぎると、寮のみんなを敵に回しちゃうことになりますよー。
さて、課題を終えた弘美ちゃん。
おもむろに立ち上がってどこに行くのと追ってみたら……。
この前、樹君と浮気をしていた女の子に詰め寄ってました。
「あなた、樹君とどういう関係なのよー!」
「ええ?」
「どうして私が責められるのよう。言い寄ってきたのは樹君のほうよ!」
ああ……。
女同士の喧嘩です。
「だいたい、あんたこそ樹の何なのよ! まるで樹があんたのものみたいな怒り方ねっ!!」
「ええっ!?」
醜い争いが始まりました。
こうなったのも、樹君のせいですよ。
で、その争いの元凶は、トイレで新聞読んでました。
争いなんて、どこ吹く風です。
悪いやっちゃ。
でも、さすがに弘美ちゃんを怒らせたままではまずいと感じたのか。
テレビを見ていた弘美ちゃんの隣にやってきました。
「あのなあ、この前は悪かったな」
「つーん。口だけで謝っても、知りません!」
弘美ちゃん、ご機嫌斜め。
こちらは、のんきにお休み中の二人。
修太君、なぜかピアノに駄目だし。
まあ、確かに、下手糞が弾いてることのほうが多いもんね。
「ぴっけー。弘美とはいっつも何おしゃべりしてるんだ?」
「イツキノオタンコナス! ボケ! パッパラパー!」
「……」
ぴっけが悪い言葉を覚えてます……。
あ、食堂でまた喧嘩。
渦中にいるのは、あのおなじみの二人ですか?
と思ったら、ランドリー・コーレイと圭君です!
どうやら圭君がコーレイにいたずらをして、怒ったコーレイが襲い掛かった模様。
圭君、手を出してはいけない人に出してしまいましたね。
「本当に、朝っぱらからよくやるわね。こっちにこないでよ」
イリーナちゃんは一人悠々と朝ごはん。
圭君が勝ちました。
コーレイ返り討ち。
いたずらの標的にされたうえ、喧嘩にも負けて悔しそうです。
一方の樹君。
四人目陥落。
続けて五人目。
絶好調のようです。
弘美ちゃんのことはもういいの?
「弘美さあ、最近ふさぎこんでるけど、なんか悩みとかあんの?」
「ないわよー。大丈夫だってー」
いとこを心配する修太。
見かけによらずいい奴です。
樹君、相性の最悪だったこの女の子とも。
この子は大分苦労しましたよ。
でも、樹君の手にかかれば必ず口説き落とされる運命なのです。
プレイヤーも、だいぶロマンス願望には慣れてきました。
2007
まだ元気のない弘美ちゃん。
姿が見えないと思って探してみると、誰もいない学習部屋で、ぽつんと一人座ってました。
「はー……」
ため息が絶えません。
パパの弘君は浮気者でも、やさしくて責任感のある人でした。
好きになった人を、絶対に悲しい目に合わせたりしなかったものです。喧嘩はよくしましたが。
ところが同じ浮気者でも、樹君にはやさしさとか責任感とかは感じられないのです。
学習部屋で物思いにふけった後は、談話室へ行って居眠り。
お疲れです。
脇のソファーでは、修太君が勉強してます。
(やっぱ、樹となんかあったのかなー。俺、樹に何か言った方がいいかなー)
いとことして、心配も絶えない修太。
イリーナちゃんは、ピアノにブーイング。
「一本指奏法なんて、なめんじゃないわよ!」
こわ……。
「どきなさい。ピアノはこうやって弾くものなの!」
さすがイリーナちゃん。
流れるような旋律が紡ぎだされます。
そういえば、弘美ちゃんもピアノは上手なんですよね。
こりゃ、いつか絶対音楽堂に行かなくちゃ。
さて弘美ちゃん。
あらら、泣いてる。
どうやらこの前の女の子を小突こうとして、返り討ちにあったようです。
本当に、皆樹君のせいですよ。
そこ!
のんきにパソコンゲームなんてやってる場合じゃないですよ!
「あーくそー。何で俺だけ悪者扱いなんだよ。ロマンス願望だから、しかたねぇっつーの」
ふてくされる樹君。
修太になんか言われた?
それでも、お調子者の樹君。
髪形を変えて心機一転、食堂のおばちゃんとおしゃべりです。
もしかして、食堂のおばちゃんも口説くつもりじゃ……。
「樹ー。その髪型うっとおしい」
樹君、一蹴!
「ぴっけー。いい子だね。樹君なんかと何おしゃべりしていたの?」
「ヒロミノイシアタマ! ジダイオクレ! ガンコモノ!」
「……」
またぴっけが悪い言葉覚えたよ……。
授業帰りを激写!
といっても、友達同士のハグなんですが。
この二人、最近なんかいい感じなんですよねー。
修太には、牛というお嫁さん候補がいたはずですが……。
樹君、また……。
こっちでもまた喧嘩。
圭君とランドリー・コーレイです。
「君の赤毛って素敵だな。思わず触りたくなっちゃうよ」
「あら、樹君も新しい髪形、素敵よ」
またしても圭君の勝利!
将軍になるために体を鍛えてるから、強いんですよね、彼。
食堂では弘美ちゃん、またこの女の子とやりあってました。
「樹君は私の彼氏なんだからね!」
「なんなのよ! もう!」
あーあ……、泣かしちゃった。
この先、樹君と弘美ちゃんはどうなることやら。
弘美ちゃん、新しい彼氏探そうよ。
2007
皆成績も合格ラインに足りて、時間ができたので……、
お出かけすることにしました。
寮にばかりいてもつまらないからね。
向かった先はなんとかレジャーランド。
ここには小さなコンサートスペースがあるんです。
楽器は音楽堂にもあるけど、あそこのコンサートホールはピアノがないですからね。
早速皆でセッション開始。
創作スキルはそこそこあるので、ちゃんとした音楽になっています。
修太君はお腹をすかせていたので、外のコンロでお昼を焼いてもらいました。
軽薄な樹君も、楽器を持つとなんとなくかっこよく見えます。
女の子のドラマーって言うのもなかなかかっこいいですね。
イリーナちゃん、ノッてます。
弘美ちゃんも、小さい頃から鍛えたピアノの腕で参加。
しかしなんといっても、本職は圭君。
プロ級の腕前です。
お腹がすいていたこの二人は、ちょっとお休みして昼ごはん。
出来立てアツアツのタコスです。
いい具合に焼けました。
そしてまた演奏。
弘美ちゃんは授業で抜けてしまいましたが。
げ、ストリーキングの人が来た!
「お前頼むから、俺達の音楽で踊るなよ!」
見たくもないものを見せ付けられた樹君。
切れ気味です。
さて、おひねりは集まったかな?
「おー、札まで入ってるぞ」
大もうけのようです。
ここ、通行人も多いしね。
圭君もおおもうけ。
でも多分一番うれしかったのは、財産願望の修太君でしょう。
今日はここいらで引き上げることにしましょうか。
さて、寮に帰ってきて。
「演奏、楽しかったね、樹君」
「ああ、そうだな」
今日のお出かけのおかげか、二人の間のとげとげした雰囲気もやわらいだよう。
と、せっかくいい雰囲気になっていたのに、喧嘩勃発!
「なんだとてめー! このやろう!」
「だまれ! このいかれポンチ!」
「それ、いつの時代の言葉だよ!」
毎度おなじみランドリー・コーレイと圭君です。
「二人ともー、やめなよー」
とりあえずも圭君を応援する弘美ちゃんと樹君。
ところが、二人の応援むなしく圭君敗北。
「ちくしょう……!」
「けっ!」
寮の外は騒がしいので、部屋の中に入った二人。
「今日の樹君のベース、上手だったよー」
「そうか? 俺、あんまり楽器触ったことねかったんだけど」
おっ!
弘美ちゃんに淡い恋心が戻ってきました。
これでもとの木阿弥……じゃなくて、元のサヤに戻ったということでしょうか。
「そうだ、樹君。肩こってない? 揉んであげようか。私うまいのよ」
「え? そう? 悪いねー」
とんとんとん
弘美ちゃんはバリバリの家族願望。
好きになった相手には、とことんまで尽くすタイプのようです。
ロマンス願望にとってはちょっと息苦しい、家族願望の愛情。
で、さっき喧嘩に負けた圭君ですが。
一人で悔し泣きしてました。
ご愁傷様……。
「ぴっけー、私、樹君と仲直りしたよー」
「シタヨー!」
早速ぴっけにご報告。
無邪気な弘美ちゃんなのでした。
2007
気がつけば、ランドリー・コーレイはいつも喧嘩の渦中にいます。
今回の相手は、あのブーイ・ジャスミナ。
ほんとによくやるよ、君達も。
そして、この男二人は妙に仲がよくて心配です。
おかっぱが金髪にハートを飛ばしてますが、恋が芽生えちゃったりとかしないんですかねぇ。
さて、昨日は樹君と仲直りした弘美ちゃん。
気持ちも晴れ晴れと、ぴっけを連れて、寮の中をお散歩です。
「ぴっけも鳥かごの中ばっかりじゃ、退屈するもんねー」
圭君は、よせばいいのに、ブーイ・ジャスミナにいたずら。
「みなさーん。今のおなら、この人でしたよー」
「ちょっと! ちーがーうー!」
圭君、また敵を増やすつもりですか?
「ぐっふっふ。圭の奴、やりおるのぅ」
お父さんにはバカ受けでした。
さあ、とうとう皆も三年生です。
卒業まであと二年間、がんばりましょうね。
弘美ちゃんは、これまで最優等の成績を維持し続けています。
この調子!
「修太君も最優等をキープし続けてるんだよね。すごいよねー」
「まあな。次のレポートを誰にやらせたらいいかとか、この科目の課題をやらせるのは誰がいいとか、見極めが難しいけどな」
ああそうか。
弘美ちゃんも修太君も、レポートは人任せだった……。
ちっとは自分でやろうや。
「で、何でこの私が、朝っぱらからあんたににやけた顔をみて、朝ごはんを食べなきゃいけないのよ!」
「しかたないじゃん。ここの席が空いてたんだから」
イリーナちゃんと樹君、何気に不仲です。
朝食を終えた樹君、さっそく食堂のおばちゃんと話し始めたと思ったら……。
淡い恋心が来ました!
樹君、まさか食堂のおばちゃんも落とすつもりなのか。
相変わらずいたずら好きの圭君。
友達相手にもいたずら。
「あーはっはっは! おかしー!!」
「いひひひひひひっ!」
仲のいい相手にいたずらすると、友好度はマイナスにならないんですね。
ちなみにこの直後、圭君は水風船をお返しに食らいましたが。
弘美ちゃんは……。
「今期くらい、レポートはちゃんと自分でやらなきゃねー」
どうやら、人任せはいけないことに気がついたようです。
えらい。
といっても、それが普通なんでしょうが。
樹君は相変わらず。
この子で寮の女の子は皆、樹君の手に落ちました。
2007
樹君、とうとう女の子を自分の部屋に呼ぶことに成功しました。
散々樹君を嫌っていた、赤毛の女の子です。
で、いよいよここからが正念場……というときに……。
あっ!
「樹……また……!」
こっちでも……。
寮の女子一同、足音も荒く、樹君の部屋に集結!
「こ~ら~、い~つ~き~……っ!!!」
「ひいっ!?」
「これはどーいうことよ!」
「どーいうことって……。何で分かるわけ!?」
「問答無用!」
バッシーン
平手打ち炸裂。
第一弾。
「くおら、この」
平手打ち、順番待ち……。
「食らえっ!」
びしっびし
平手打ち、第二弾。
さらにチョップが炸裂。
頭に刺さってますがな。
こうして、駆けつけた女の子達にもれなく平手打ちをくらった樹君。
ようやく女の子達から開放されて、一人ぴっけに愚痴る。
「なんで、あいつら分かったんだよ……」
女のカンって奴でしょう。
時間も遅かったので、今日はそのまま一人寝床にもぐります。
樹君、今日の一件で、寮の女の子達を敵に回したことになります。
明日からどうなることやら。