2007
今日も今日とて、冨美枝さんのパブに足を運ぶ樹君。
「いらっしゃい……」
「ふぅ、どうも」
「いつものでいいですか?」
「うん」
「はぁ……」
「今晩はどうしたんですか? ため息が多いわね」
それは、弘美ちゃんのことを考えているから。
「やっぱり、人妻はダメっすかねぇ……」
弘美ちゃんを口説いてしまったことが、まだ胸に引っかかる樹君です。
「場合によりけりじゃないですか? でも、火遊びでしょ? 大人の遊びに危険はつき物ですよ」
樹君と同じロマンス願望の冨美枝さん。
口にする言葉も、ロマンス願望としてぶっちゃけてます。
「いや、まぁ……。遊んじゃいけない相手って言うか……」
「難しいわね。それより、楽器が弾けるなら、ちょっと演奏していただけません? いつも演奏してくださる方達がやめてしまって。音楽は心を整理させてくれますわ」
ということで、言われるままにギターを弾いてみる樹君。
お店の雰囲気に合わせて、曲はジャズで。
あ、おひねりが入りました!
ここで演奏していけば、ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなりますね。
飛び入りで、ピアノも入りました。
NPCにしてはなかなか上手です!
ベースも入りました。
でも、こっちは……ど下手!
まあ、音楽は楽しければいいですけどね。
またおひねりが入りました。
今晩は大もうけですか?
ところが、調子に乗って弾いてるうちに、気がつけば体力が真っ赤。
おまけに、空腹まで真っ赤。こちらは命にかかわります。
そこで緊急策。
冨美枝さんとデートすることにしました。
デートで高いスコアを出せば、パラメーターが回復しますよね。
それを狙ってのことです。
仕事で片時もじっとしていない冨美枝さんを、どうにか捕まえてはくすぐったりキスしたり抱擁したり。
ちまちまとデートスコアをあげていきます。
んが、
仕事中の冨美枝さんを捕まえておくのは、思ったより困難。
すぐにあんなふうにてきぱき他所に行って、デートスコアをあげられないまま、タイムアウトでデート終了。
すでに体力はゼロ(公共区では気絶できないみたいですね)
空腹は生命の危険を感じるまでに落ち込んでいます。
ここはおとなしく帰宅した方がよさそう。
ギターに夢中になってて飢え死にしましたじゃあ、あまりにかっこ悪いですしね。
どうにか無事にベッドまでたどり着けました。
とにかく今は寝て、食事が出来るくらい体力を回復させるのが先決です。
翌日。
気分はすっきり、おなかは空っぽという状態で目覚めた樹君。
早速パンを山盛り焼きました。
これ全部一人で食べます。
「はあ、助かった……」
結局二皿だけでおなかがいっぱいになりました。
何のバグか、この後お皿が片付けられない状態になってしまいました。
時々こういうことが起こるんですけど、何ででしょうね。
まあ、メイドさんを雇っているので、彼女が片付けてくれることを祈ります。
教訓。
公共区に行ったときは、体力の限界まで遊ばないこと。
2007
(今度冨美枝さんのパブに行ったら、ピアノを弾いてみるかなぁ……)
生涯願望「プロのパーティーゲストになる」をかなえた樹君。
しかし、パーティゲストの仕事は週末以外ありません。
月曜から木曜まで休日って、かなりうらやましい身分です。
でも、いい加減時間をもてあましすぎ。
暇していたところへ、仕事の同僚でもあり恋人の一人でもあるフェリシアさんから、シム付き合いのお誘いがありました。
当然、お受けしました。
そこでやってきたダウンタウン。
皆で楽しめるように、プール&スパを場所として選びました。
裸の付き合いというわけです。
ところが、シム付き合いのメンバーの中には、もう一人の恋人ジャクリーヌちゃんの姿も。
これはちょっと気をつけて行動しないと、修羅場になってしまいそうですね。
「あなたもいっしょにどお? チェス」
「いんや。俺見てるだけでいいわ」
さて、シム付き合いのスコアをあげたいんだけどどうするかなぁ。
基本的にデートしているときと同じような行動をすれば、スコアがあがりやすいのですが、ジャクリーヌちゃんの目があるし……。
ジャクリーヌちゃんのほうはというと。
こちらも屋外チェス。
彼女の目を盗むには、今がチャンスなのかもしれません。
そこで樹君、フェリシアさんを屋内に呼び寄せて、いちゃつくことにしました。
ここなら、ジャクリーヌちゃんに見つかりっこありません。
シム付き合いスコアもがんがんあがります。
と、ジャクリーヌちゃんに見つからなかったのはいいけど、この人に見つかった。
盛大にダブルマイナスを出しているのは、おじいさんになった素直君。
弘美ちゃんのお兄さんです!
「ひ、弘美がこれを知ったら、どんなに悲しむか……」
これはまずいです。
弘美ちゃんに告げ口でもされたら……。
とりあえず、あっちいけ。
しっしっ!
これ以上樹君に敵対意識を持ってもらっても困るので、追い払いました。
必ず人が通る、トイレの前でいちゃついてた方も悪いのですが。
気を取り直して、また接吻。
フェリシアさん、大喜び。
あ、また……。
トイレに行った素直君がまた出てきました。
仕方がない。
屋上のホットタブに場所を移しましょうか。
と、屋外でチェスをやっていたジャクリーヌちゃん。
勝敗が決まって、席を立ちました。
やばい!
樹君! フェリシアさん!
離れて離れて!
ホットタブを出て、のぼせ気味だった体を、プールでしめることにしました。
今度はジャクリーヌちゃんが、樹君のそばにやってきました。
どうやら構ってほしいみたいですが、プールの中じゃ、何も出来ません。
そこへ、追い払われたはずの素直君がまた現れました。
樹君、つけられてる?
と思ったら、どうやら本当にプールに入りたかっただけのようでした。
願望かなってるし。
こうしてゆったり水に体を任せていると、弘美ちゃんのことも他の女の子のことも、何もかも綺麗さっぱり忘れてしまいます。
(俺、年をとったら世捨て人みたくなるんじゃないのかな……)
シム付き合いのスコアは、途中でフェリシアさんが帰ってしまったので、「すばらしい」に留まりました。
でも、ボーナスでパラメーターがだいぶ回復したので、日が落ちても元気いっぱい。
そこで、かねてより電話で親しくなっていた女の人を電話でデートに誘いました。
すぐにこちらに向かってくれるとのこと。
相性は最悪なので、断られるかと思いましたよ。
やってきたのはこちら。
名前は失念しました……。
相性が最悪だったので、恐る恐る口説いてみると。
意外とあっさり受け入れてくれて、赤いハートも点灯しました!
これで9人目の恋人かな?
樹君にはまだピンクのハートしか付いていなかったのですが、友好度を見れば、あと一歩で恋に落ちそうです。
なので、積極的に迫ってみます。
抱擁しているうちに、樹君にも赤いハートが点灯しました!
これで晴れて相思相愛。
最後はホットタブで。
夜だからだいぶ暗いですね。
まあそれも、ムードのうちですか。
2007
ある朝のこと。
「あら? 手紙が来てる」
「ピンクの封筒? ラブレター?」
「きゃー。どうしよう。誰からかしらっ!」
……それ、樹君に来た手紙なんですが。
樹君の玄関先には、もう一匹の影が。
ころ「くうーん(おやつ頂戴!)」
通行人「なにこの犬。耳の立ってるゴールデンレトリーバー!?」
通行人「変な犬!」
そのままスルーされる、ころ。
「うん。そうそう。だからさー……」
樹君が朝風呂のあと、女の子に電話をかけていると、いつの間にか背後にすごい笑顔で立っている人が。
弘美ちゃんです。
玄関に鍵かけてなかったのね。
「びっくりしたなぁ。ところで、こんな朝っぱらから、何の用?」
「なんのって……」
「どうしようっ!! 実は私、家出してきちゃったのよーうっ!! 今日は真美の誕生日だって言うのにー!!!」
「おおお、落ち着けって! とにかく、飯にしよう、飯」
「ぐすん……」
通り過ぎる弘美ちゃんのあとから、
「……犬? 犬も弘美について来たのか?」
そりゃあ、ころのご主人様は弘美ちゃんですから、ついて行くのは当たり前です。
って、こら!
おとなしく弘美ちゃんのあとをついていったと思ったら、すかさず破壊活動を始めました。
弘美ちゃんの家にいる間は、こんなことしない子だったのに!
住む環境が変わったから、ストレスでも感じていたんでしょうか。
色々やってるうちに、日が暮れました。
夕ご飯の支度です。
「で、何で家来たの? だんなと喧嘩でもしたの?」
「違うわ……」
「大学時代は、勉強で大変だったわよね」
なかなか本題に入らない弘美ちゃん。
「あのさ……」
「ええっと……。迷惑だったかな……」
「俺はこんな生き方してるから、別にいいんだけど。お前は違うんじゃないか?」
「そう思ってたんだけど……」
「ふーん。大学時代、私があげたバラの花束、寝室に飾ってくれてたのね」
「ああ。……俺はお前を思いとどまらせるべきかなぁ」
「どっちかって言うと、俺はあんまり厄介ごとは背負い込みたくない方だからな。分かってる?」
「いいわよ。厄介ごとはみんな私が引き受けるから」
「マジですか」
「あなたに会いたくて家出してきたのに、会うとどうも決心が鈍るって言うか。あなた、口を開くとろくな男じゃないわね。だまって突っ立ってるだけなら、まだましなのに」
「人のこと言えた義理かよ」
「そうね……」
さて翌日です。
弘美ちゃんに、携帯から電話がかかってきました。
夫のかなた君からです。
「ごごご、ごめんなさいっ。帰ります! すぐに帰りますぅ!!」
「え? 今どこにいるかって? えーとうーんと……」
「……大学時代の元彼の家……」
・・・
電話が切れました。
変なところで正直な弘美ちゃん。
電話をかけた直後のことです。
案の定……。
「うええ~。気持ち悪……」
弘美ちゃんが朝ごはんを作ろうとすると、ちょうど冷蔵庫の食材が切れていました。
なので、先に朝食をとっていた樹君の残り物を食べることに。
妊婦は下手すると、餓死の危険がありますから。
「あー。まいったなぁ。まいったなぁ……」
「もぐもぐ。まだそんなこと言ってんの?」
「私やっぱり、ママの娘だったんだわ。好きな人は好きだし。でも、結婚向きの性格じゃないわよね……。いまさら気づくなんて」
「……ほら、そこだ! シュートー!!」
樹君はスポーツ番組に逃避。
「今のうちに、物件を探しとこう……。でも、その前に、かなたさんと話さなきゃ」
電話で頼んだ食料が配達されてきました。
愛想のいい配達員、めちゃくちゃ笑顔です。
もっとも樹君は何もかも上の空ですが。
彼が台所の勝手口から家に入って、冷蔵庫に食料品をつめているうちに……、
弘美ちゃんが玄関から出て行ってしまいました。
「おい、ちょっと待てよ。どこに行くつもり?」
「帰る」
「ちょっとちょっと!」
慌てて後を追いかけますが、弘美ちゃんは振り返りもしません。
ころを連れて、弘美ちゃんは来たときと同じように、さっさと帰っていってしまいました。
直後に樹君に電話。
冨美枝さんからです。
すごいタイミング。
「今、取り込み中だったんですけど。え? 演奏ですか。今はそんな気分じゃないんですよ。店には飲みに行きたいんですけどね……」
その後、どうしても落ち着かない樹君。
家に仕事でやってきたメイドさんを、いつものように口説いてみました。
淡い恋心が点灯。
でも今日はなんだか虚しい……。
そのとき、なんとなくメイドさんのメイクが気になった樹君。
鏡台でメイクをしてあげました。
サービスシムなので、髪型はそのまま。
メイドのケイリーンさん、なかなかお綺麗になりました。
2007
弘美ちゃんが出て行った日のお昼です。
樹君、かねてより電話で親しくなっていた、大学時代の教授を家に招待しました。
教授、友達も連れてきていいかといっていたので、許可したのですが……。
弘美ちゃん!?
なんと、朝に出て行ったはずの彼女を、教授が連れてきてしまいました。
「あー。あったかくて気持ちいー」
弘美ちゃん、樹君に挨拶もせず、家の裏手のホットバスに直行。
樹君には、教授が弘美ちゃんを連れてくるなんて、計算外です。
とりあえず、今日の課題は教授を口説き落とすことなので、弘美ちゃんやメイドさんのいない台所にこもることにしました。
二人に見つかったら、大変ですからね。
軽く手をつなげば、このとおり。
まずは淡い恋心が来ました。
そして、
さらには赤いハートまで。
これで樹君の恋人は、弘美ちゃんも入れて12人になります。
一方その頃の裏庭。
「パフェって、おいしいけどボリュームあるところが、侮れないのよね」
「そうねー。でもパフェ大好き」
樹君の女達2名、何も知らず、和やかにパフェなどの話をしています。
教授と浮気しているところは、見つからずにすみました。
さて、教授を落としてしまえば、今日のロマンス課題は完了。
弘美ちゃんとなんとなく顔を合わせたくない樹君、さっさと出掛けることにしました。
「56ウッドランドドライブまで、タクシー頼んます」
そそくさと車に乗り込む樹君。
向かう先は、
「ダウンタウンの最近できたパブまで、お願いします」
やって来たのはいつもの場所。
樹君にとって、家の次に落ち着ける場所かもしれません。
「また来ましたの?」
「客に向かって、それはないでしょ……」
「この間、あなたに溜息をつかせていた問題は、解決しました?」
「解決も何も、後戻りできなくなっちゃいましたよ……。なんか子供ができたみたいで。……一杯もらえます?」
「今顔を合わせるわけにも行かないし。どうしたもんかなぁ」
「相手は既婚でしたっけ?」
「面白い展開になってきましたわね。何か私にできることはあります?」
「他人事だと思って……。離婚とかになって、俺が責任取ることになったら、ホントどうしたらいいのか」
ロマンス願望にとっては、結婚は人生の墓場です。
その後、カードゲームで時間をつぶす樹君。
ちょうど、彼の友達の佐田家翠さんも来ていました。
「お前さあ、最近身内で何か重大事件とかあったりした?」
「いや、何も聞いてないけどね。毎日平和で、退屈だよ。何かあった?」
「そのうちあるかも……」
碧さんは、一応弘美ちゃんにとってはいとこになるんですが。
あんまり交流はないようですね。
割り切れない思いのまま、夜をすごす樹君なのでした。
夜遅くに樹君が家に帰ってきたら。
弘美ちゃん、メイドさん、教授が仲良くそろって、ホットタブにつかってました。
まだいたんですか、あなた達は。
三人とも樹君の恋人だから、色々ありえない光景なんですが。
表の女性陣は放っておくことにします。
多分、遅くなれば勝手に帰っていくでしょう。
「まぁ、なるようになれだ。弘美もああ言ってたし、自分で何とかするだろ」
「寝よ寝よ……」
あくまでも束縛を嫌う樹君。
そこがロマンス願望らしいといえば、らしいんですけどね。
2007
「あ、冨美枝さん。たまには店じゃなく、外で会ってみません?」
樹君、パブのママさんをデートに誘いました。
まだ一回も、まともにデートしていませんでしたからね。
やって来たのは、ブルーウォーター村のハンターの公園。
のんびりお散歩にでも洒落込もうと言うわけです。
まずは、挨拶代わりに赤いハートをいただきました。
「ところで竹中さん。その格好暑すぎません? ここは夏ですよ」
「いや、家の方は冬だったもんで……」
樹君の区画は冬だったのですが、この公共区画は夏に設定されてました。
どうもちぐはぐですね。
とりあえず、一緒に釣りをしてみることにしました。
「私、釣りは初めてですわ。教えていただけない?」
「いや、俺もそう経験があるほうではないんで」
「あ……。何か釣れましたわ」
お約束というかなんと言うか。
「でか……」
ものすごく巨大な長靴です。
誰んのだ。
「ところで、それからあなたの方はどうなりました?」
「どうって?」
「佐田家弘美さんの旦那さんと、私、お友達ですのよ。彼、最近変わりましたわ」
「変わった?」
冨美枝さん、また同じ長靴を吊り上げました。
これで左右がそろいましたか?
「なんで、その人と友達なんです?」
「あら、仕事帰りにうちの店に時々よって下さるのよ。おっ、今度は手ごたえありだわ!」
「今度は運動靴でもつれるんじゃないんですか」
「温厚そうな方だと思っていたんですけど、最近はなんと言うか、とても情熱的な様子におなりになられて」
「見て分かるんですか?」
「私だって、男の方は見慣れていますのよ」
ところで、さっきから二人の会話をものすごく背後で見ている人がいるんですが……。
しかもどんどん近づいてきてるし……。
後ろの人がうっとおしいので、結局、冨美枝さんを家にお呼びしました。
「情熱的って、どういう意味ですか?」
「そのままの意味ですわ」
「もしかしたら、恋してるのかも」
「はあ? 所帯持ちですよ、彼」
とは言いつつ、その人の奥さんと不倫したのはどこのどなたですか。
「恋ねぇ……」
弘美ちゃんは樹君との子供を産んだのです。
弘美ちゃん夫婦に何の変化もないなんて、あるわけがありません。
樹君、色々思うことはあるのですが……。
彼に何ができるというわけでもありません。
冨美枝さんが帰った後、どこか苦い思いを味わいながら、遅い朝ごはんをとる樹君なのでした。