2007
「パパー! ママー! 見て見てっ。私A+とったのよー!」
ごめんねさつき。
ママ達はお出かけして疲れてしまいました。
子供達は眉根を寄せて、宿題に取り組む。
毎日大変だよね。
さつきも今の成績を維持するため、必死に勉強。
この調子なら、大学に入っても大丈夫ね。
子供達が勉強をしている間に、私は夕ご飯の支度をしよう。
今日は軽くかぼちゃスープ。
ぱんだや。
お前は小さくて本当にかわいいね。
いつまでも、長生きしてほしい。
子供達は夕食をとってお休みです。
いい夢を見てね。
私達夫婦、新婚のときより、何かいい感じじゃない?
家族団らん。
春日の学校の話、さつきのとんちんかんな受け答え、勇樹さんの生返事。
「でね、クラスの子の半分がカスタムヘアーなんだよ。信じられる?」
春日は、カスタムヘアーが嫌いな気難しい子です。
でもね、パパもさつきもカスタムヘアーなんだよ。
食後の一休み。
のんびり、本なんかを読んで。
「ママー。電話よ。シドさんって人から」
シド?
彼とは結婚後、まともに口をきいていない。
今どうしているんだろうか。
(僕達はまだ友達だよね)
そう、友達。
聞くところによると、彼は相変わらず愛犬と二人で独身生活を謳歌しているようだ。
父親譲りの瞳を持つさつき。
そんなさつきも、いよいよティーンになる日がやってきた。
子供の成長を見ていると、時間なんてあっという間だ。
また親族を呼んで、誕生会を開く。
さあ、さつき、ろうそくを吹き消して。
それにしても、呼べる親族がずいぶん少なくなってしまったな。
仕方のないことだけれど。
成長したさつき。
眉の辺りは私にそっくり。
晩には皆にハンバーガーを作って、それぞれくつろいでもらった。
今後しばらくは、こうして親族を招待する機会はないだろう。
次に招待するとしたら、春日やさつきの結婚式のときだろうか。
まだまだ遠い未来の気がする。
2007
「……人妻って方が燃えるかもな……」
弘美ちゃんが結婚してしまってから、なんとなく面白くない樹君です。
しかし、その発言は不穏ですよ!
じっと鏡を見つめても、そこにいるのは自分ひとり。
一人暮らしだから当たり前。
そんな事実が、時にはちょっぴり身にしみる今日この頃。
ということで、人を呼びました。
大学時代、寮の食堂で皆のご飯を作ってくれてた食堂のおばちゃんです。
出迎えて、口説いてみたら、あっさり恋に落ちました。
年下の男が好みですか?
お年寄りなので、あったかいホットタブにご案内。
お湯に浸かりながらのんびりと世間話でもします。
もっとも、世間話だけでは終わらせないのが樹君です。
すすっと近づいて、いい感じに。
この後、ご老体にしっかり奉仕して、お帰りいただきました。
「仕事が休みの日は暇でしょうがねえな……」
ある程度スキルもあげちゃってるので、女の子を口説くことしかやることがありません。
テレビ見てもつまんないし。
そこで、ちょっと刺激的なお嬢さんを呼ぶことにしました。
日が暮れて現れたのはこの方。
吸血鬼のウェンディ伯爵夫人です。
以前会った時から電話をこまめにかけて仲良くなっていたので、口説き落とすのは簡単でした。
樹君、寝室で襲われる。
いえ、これは吸血鬼嬢に「ブラーッ! と言われる」です。
なんなんでしょうね。この行動アイコンは。
どうやら威嚇されて脅かされたようです。
と、お嬢さん、目から怪光線。
これは……、樹君、危ないよ!
ガブッ!
噛まれました。
樹君、喜んでいるようにも見えますが……。
案外気持ちいい?
「ううっ!?」
なにやら体がひとりでに引きつって……
樹君も吸血鬼になりました。
これでお嬢さんと同じお友達♪
ブラーッと言い合って親睦を深めます。
吸血鬼は普通のベッドでは安眠できません。
そこで、買いました。
棺おけベッド。
和風建築の樹君の家には、恐ろしくミスマッチですが。
翌晩、この人を家に呼びました。
出会いサービスのおばちゃんです。
「どうも」
「おやまあ、あんたいい顔色ねぇ」
「吸血鬼を治すには、この一本! よく効く薬だぞえ~」
「じゃ、それ下さい」
吸血鬼の生活を楽しむ前に、治す薬を買っておきます。
これでいつ何が起きても、すぐにもとの体に戻れるので安心。
せっかくおばちゃんを呼んだので、ブラインドデートも頼んでみました。
落ちてきたのがこの女性。
「おばちゃん、もっとかわいい子頼むよ」
ピンクの女性には、失礼ですがすぐにお帰りいただきました。
次に落ちてきたのはこの女性。
あっ、カスタムキャラだ!
珍しいこともあるものですね。
樹君も彼女が気に入ったようです。
「それじゃあ、後は若い二人に任せようかねぇ」
おばちゃん、サンクス。
いざ、お話しようと思ったら。
夜が明けて朝日が射し込んできました。
「うわーっ! 体が灰になるー!」
「あんた、大丈夫?」
大丈夫ではないので、女の子とはさよならして棺おけに逃げ帰る樹君なのでした。
吸血鬼は夜は無敵だけど、昼は弱すぎですねぇ。
2007
日光に弱いという吸血鬼の特性は、思ったよりも不便。
吸血鬼になっている間は不老だったりと、いい面もあるにはあるのですが……。
結局、元に戻ることにしました。
マッチメーカーから買ったこの怪しげな薬を飲めば……、
ごっくん。
どうかな?
はい、元通り。
これでまた、太陽の下で思う存分遊べます。
電話。
「あ、弘美か? なんか面白いことない? 俺、暇でさ~」
吸血鬼になっている間は、ちょっとばかり面白かったですけどね。
ところがその晩。
勝手口に忍び寄る怪しい影。
もしかしなくても、泥棒さんです。
床の間の掛け軸を盗んだ泥棒。
ほくそ笑んでますが、あんた女ですか!
樹君にとっては、真夜中に女性と二人、けっこうおいしいシチュエーション?
さらにこの泥棒、掛け軸だけでは飽き足らず、庭のホットタブも失敬。
それは困るなぁ。
そのホットタブは、ある意味樹君の仕事道具だし。
警察に電話したので、警官が駆けつけてくれました。
泥棒との乱闘です。
「うおりゃぁぁ!」
樹君も、警官を応援。
死闘の末に、泥棒はお縄に。
警官が勝ったおかげで、盗まれたものも保険がおりました。
泥棒の一件で、へんな時間に起こされてしまった樹君。
目がさえて眠れなかったので、女の子を呼びました。
翌日、盗まれた掛け軸をしのんで涙に暮れます。
でも樹君、掛け軸のことを考えるのか昨日の女の子のことを思い出すのか、どちらかにして下さい。
「あの掛け軸、気に入ってたのに~」
泣くな泣くな。
また同じものを買えばいいでしょうが。
2007
今日は土曜日。
花梨ちゃん、早速お出かけです。
男の子とデート。
彼はコーミア・リッキー。
なんか、やる気がないなこいつ。
「リッキーって、お仕事してるんですのね」
「うん? うん、まあね」
彼は勤労少年。
しかし以外にもロマンス願望。
二人でおしゃべりをしていたら、知らないおじさんがこっちを見て顔を覆っていました。
なんだろう。
もしかして、花梨ちゃんが浮気をしてるということを知ってる人?
一応花梨ちゃんの本命は佐田家真治君ですから。
人目を気にしてもしょうがありません。
花梨ちゃんだってロマンス願望。
彼氏はいっぱいほしいのです。
そこで、リッキーに花梨ちゃんのことをどう思っているか、聞きました。
「その顔全体メイクありえねぇ!」
「……」
さようなら。
君とは縁がなかったみたいだね。
リッキーと速攻別れ、次に花梨ちゃんが呼び出したのは、ベア・コーレイ。
この間真鈴ちゃんとデートして、ベーカリーに置き去りにされた彼です。
コーレイに、花梨ちゃんについて聞いてみました。
「その金髪イカスー」
まあ、相性は悪くないようですね。
コーレイを連れて、「PURE」にやってきました。
火を噴くオブジェがあるところです。
「すごい炎ですの」
あんまり近づくと、危ないよ。
「マシュマロを焼きますのー」
それにしても、ちょっと火力が強すぎるように思うのですが……。
「花梨ちゃん、前髪が焦げるよ……」
「平気ですー」
マシュマロがこんがり焼けました。
「いただきまーす」
熱くて、おいしいね。
せっかくここまで来たんだから、マシュマロを焼くだけではもったいない。
踊りましょう。
コーレイはさっきまで屋上のホットタブに入っていたので、水着姿です。
それにしても、派手な水着ですね。
踊った後は、大人みたいにバーで飲み物を。
もちろん、ノンアルコールで。
「早くほんとのお酒が飲めるようになりたいんですの」
「僕も……」
そのあとは、エレクトロダンスボールに挑戦。
花梨ちゃん、もうコーミアのことはどうでもいいみたいです。
一人で遊び始めました。
ぐりんぐりんぐりん
「きゃーははっ!」
「花梨ちゃん……。僕、また屋上のホットタブに入ってくるね」
「はれーっ!?」
すこしばかり、激しく回りすぎたようです。
ごちん
「ふぎゃっ」
投げ出されてしまいました。
ひとしきり遊んだので、コーレイとはさようなら。
去り際に、コーレイの淡い恋心を盗んでやりました。
真鈴ちゃんの男の子を取って、大丈夫なんですかね、花梨ちゃん。
2007
花梨ちゃんのお出かけは続きます。
今度は「ミッドナイトフローズ」にやってきました。
店内に入ると、おや?
花梨ちゃんとはとっても話が合いそうな女の子がいました。
「はじめましてー。その格好、とってもよく似合ってますの」
「ありがとう……。あなたも、とってもよく似合ってる……」
「私エルっていうの……。またどこかであったら、よろしくね」
「はーい、よろしくですの」
エルちゃんと別れ、花梨ちゃんが次に呼び出したのは佐田家真治君。
「久しぶりに、デートしましょ?」
「うん。そうだね」
二人でカラオケ。
といっても、かなりへたくそですが。
でも、楽しければいいよね。
なんだかんだ言っても、やっぱり真治君といる時が、一番落ち着く花梨ちゃんです。
さて、夕ご飯。
二人とも、どっちを向いてるの。
「はい、あーんですー」
「あーん」
気分はすっかり新婚さん。
二人が仲むつまじくご飯を食べていると、近くでなにやら不穏な気配。
ミセス・クランプルボトムが、吸血鬼嬢にガンつけしてる!?
「なんだいあんたは。私の顔に何かついてるのかい!」
二人が同化!
いや、これはどうやら吸血鬼嬢がミセスに噛み付いたようです。
なぜかミセスは棒立ちのまま硬直。
驚きすぎて、腰も抜けませんか。
ミセス、無表情のまま体を引きつらせて……、
……。
ミセス、変化なし。
しかも、むちゃちゃくちゃ怖い顔で吸血鬼嬢を睨み付けてます。
「今のは何のまねだい? これだから最近の若い女子は!」
しかし、本当に顔色が変わっていませんね。
ミセスは吸血鬼にはならないんでしょうか。
でも、よく見てみると……。
首の半分から下が、青くなってる……。
ダウンタウンの名物が、とうとう吸血鬼になってしまいました……。
これ、治せるのか……?