2007
子供達、朝から仲良くお人形ごっこ。
でも、春日、あなた扉にめり込んでるわよ。
今日は、子供達も連れて家族でダウンタウンに。
はじめは勇樹さんと二人きりで来ようとも思っていたけど、やっぱり皆一緒の方が楽しいよね。
やってきたのはシムボウル。
早速勇樹さんが一投目。
「うわちゃー!」
あらら。
溝に入っちゃった。
悔しそう。
私も、えい!
いまだにこのボールをうまく転がすことが出来ない。
勇樹さんに、私の投げ方はロフトボールだと言われた。
それって、よくないの?
結果は上々。
勇樹さんに勝ったぞ。
と、思ったら。
勇樹さん、二投目でストライク。
ど真ん中に行きましたね。
「よっしー!」
さすが。
普段体を鍛えているだけあって、うまい。
春日も、ボーリングに初挑戦。
ボールが重たいね。
よいしょ、よいしょ。
終始この顔。
子供用のがあればよかったんだけど。
あ!
危ない!
うわー。
痛そう。
これは泣いちゃうかな?
ところが、結果は……。
これには春日も痛いのを忘れて、にやり。
さつきも、挑戦します。
やっぱりボールが重たいね。
溝に入っちゃいました。
さつき、勇樹さんとおんなじ顔をして悔しがる。
「あーもう! また溝に落ちちゃったー!!」
怒ってる怒ってる。
「そろそろ腹減らない?」
「この辺でお昼ご飯にしようか」
「ママ! お外で食事するの、初めてだね!」
「そうだね」
子供たちも、食事に連れて行けるくらい大きくなったんだな。
それぞれ好きなものを注文。
子供達はやっぱり、ハンバーガーやマカロニチーズが好きみたい。
「ねー。ママは大学で優等生だったんでしょ」
「そうだぞ。パパは途中でやめたけど、ママは最優等で卒業したから、偉いんだぞ」
「ふーん。私も大学で優等生になれるかな」
「がんばって勉強してたら、なれるよ」
「ねーパパ。私、一回占いがやってみたい」
「何を占ってほしいんだ?」
「秘密ー」
子供達、おしゃべりに夢中で食べるのが遅くなっちゃいました。
食事の後はお買い物。
十代に成長する春日の服と、私達夫婦の老齢者用の服。
私達も、年をとる日が近いのだ。
私や勇樹さんが年をとるなんて、うそみたい。
ずっと先のことだとばかり思っていたのに。
春日が妹と写真を撮って、私達にプレゼントしてくれた。
さつきはさらに大サービス。
三点倒立までして見せてくれた。
私も春日と写真を撮る。
勇樹さんもさつきと写真。
今日は本当に楽しいお出かけになった。
さつきも十代になったら、また皆で遊びに行けたらいいな。
2007
さあ、春日の成長の日。
今日も親族を集めた。
こういう機会がないと、なかなか集まれないものね。
春日、成長。
うわあ、私の若い頃とそっくり!
「春日、綺麗になったなあ。パパは心配だぞ」
そんなにほめられると照れるなあ。
って、何で私が恥ずかしがらなくちゃいけないんだろう。
亡くなった一番上の姉の娘、弘美ちゃん。
大学を卒業したはずだけど、ケーキをほおばる姿は、なんだかまだまだ子供みたい。
ほとんど春日と同年代に見える。
「ねえねえ、叔母さん聞いて! 私この間、近くの公園でとっても素敵な人に出会えたの!」
「まあ、よかったわねぇ」
姉が亡くなって落ち込んでいるんじゃないかと心配してたけれど、どうやら大丈夫そう。
春日の成長を見届けたら、今度は私達の番。
それまでせめて、若い姿を満喫していよう。
娘達は大学入学へ向けて、必死に勉強。
春日は……、これ、何の道具?
どうやら、うそをつく訓練をして、創作力を高めているらしい。
勇樹さんが仕事の報酬としてもらってきたものだ。
私も自分の仕事の報酬で、さつきに料理を教えることにした。
「さつき、これはチョコレート製造機よ」
「チョコレート?」
タンクにチョコを入れたら、後はひとりでに完成品が出てくる優れものだ。
「こうして出てきたチョコレートをすばやく選別して、箱につめるのよ」
「へー。おもしろそう!」
「商品にならないチョコは、こうしてお口の中に。もぐもぐ」
「私も食べるぅ!」
ぱんだー。
私もとうとうおばあちゃんになるんだよー
ステレオをつけっぱなしにしていたら、勇樹さんがダンスに誘ってきた。
「俺達の誕生日は、家族だけでやらないか?」
「そうね。それもいいかもね」
ぱんだ。
そういえば、ずいぶん長生きだ。
私達より長生きかも?
ぱんだはこの先もずっと、私達家族を見守り続けていてほしい。
勇樹さん、ついに成長。
彼のこの姿も、見納めかぁ。
私も、さつきの宿題をみてやった後……、
ついに変身。
さようなら、私の青年時代。
晴美おばあちゃんの出来上がり。
「ぱんだー。ママとパパがお誕生日を迎えたよ! おまえもうれしい?」
老年期、思っていたより悪くないかもしれないな。
結婚してからは子育てにおわれる日々だったが、子供達ももう一番手のかかる時期は過ぎた。
私達もこれからは、ゆっくり出来る時間が多くなるだろう。
ギターを弾く勇樹さん。
彼は今度は、娘の肖像画に着手したみたい。
私も誕生日祝いに、彼の肖像画を描いてあげようかな。
2007
不幸って、続くときは続くものね。
私の一番上の兄とひとつ上の姉が、続けて亡くなってしまった。
五人兄弟だった私達も、今ではひとつ上の兄と私だけだ。
ミスター・レンガに寂しい心を、打ち明けてみる。
子供のために買って来たおもちゃ。
今では私が一番使ってる。
勇樹さんに誘われて、二人でダウンタウンに行くことにした。
二人だけの外出は、久しぶりだ。
まずはレストランで昼食をとることにした。
ここは覚えている。
勇樹さんと初めて食事をした場所だ。
あの時、私はライム風えびのたたきで、勇樹さんはフライドチキンだった。
あら、弘美ちゃんが来てる。
今日は一人なのかしら。
この間結婚したばかりだけど。
今日の私達のメニュー、初めてのときと一緒。
食後。
「じゃあ、いつもの場所、行く?」
いつもって、私達が結婚してからはほとんど行っていない場所でしょ?
「行きましょうか」
「ラッキーシャック カード&ドリンク」
久しぶりの場所。
勇樹さんの弟さんが来ていた。
三人でお酒。
私はバーテンダーの赤毛が気になって、上の空。
さあ、ここに来たならゲームをやっていかなくちゃ!
久しぶりのカード。
若いころに比べると、私もだいぶ付き合いのいいシムになったでしょ?
いまじゃ、私もそこそこ強くなった。
でも今日は、勇樹さんの方がついてるみたい。
チップが山積み。
カードを切る手も鮮やか。
気がついたら、私は負け続け。
もう手持ちのチップがほとんどないわ。
ここが勝負時。
手持ちのチップをすべてかけてみる。
結果は……。
私は二番手で勝ちました。
よかったな。
さあ、今日はこの辺にして、そろそろ帰りましょうか。
子供達も待っているでしょう。
2007
「パパー! ママー! 見て見てっ。私A+とったのよー!」
ごめんねさつき。
ママ達はお出かけして疲れてしまいました。
子供達は眉根を寄せて、宿題に取り組む。
毎日大変だよね。
さつきも今の成績を維持するため、必死に勉強。
この調子なら、大学に入っても大丈夫ね。
子供達が勉強をしている間に、私は夕ご飯の支度をしよう。
今日は軽くかぼちゃスープ。
ぱんだや。
お前は小さくて本当にかわいいね。
いつまでも、長生きしてほしい。
子供達は夕食をとってお休みです。
いい夢を見てね。
私達夫婦、新婚のときより、何かいい感じじゃない?
家族団らん。
春日の学校の話、さつきのとんちんかんな受け答え、勇樹さんの生返事。
「でね、クラスの子の半分がカスタムヘアーなんだよ。信じられる?」
春日は、カスタムヘアーが嫌いな気難しい子です。
でもね、パパもさつきもカスタムヘアーなんだよ。
食後の一休み。
のんびり、本なんかを読んで。
「ママー。電話よ。シドさんって人から」
シド?
彼とは結婚後、まともに口をきいていない。
今どうしているんだろうか。
(僕達はまだ友達だよね)
そう、友達。
聞くところによると、彼は相変わらず愛犬と二人で独身生活を謳歌しているようだ。
父親譲りの瞳を持つさつき。
そんなさつきも、いよいよティーンになる日がやってきた。
子供の成長を見ていると、時間なんてあっという間だ。
また親族を呼んで、誕生会を開く。
さあ、さつき、ろうそくを吹き消して。
それにしても、呼べる親族がずいぶん少なくなってしまったな。
仕方のないことだけれど。
成長したさつき。
眉の辺りは私にそっくり。
晩には皆にハンバーガーを作って、それぞれくつろいでもらった。
今後しばらくは、こうして親族を招待する機会はないだろう。
次に招待するとしたら、春日やさつきの結婚式のときだろうか。
まだまだ遠い未来の気がする。
2007
春日がなんだか怖い顔をして、電話をかけていた。
さては、何かたくらんでるな。
多分、今夜にでも友達と家を抜け出そうとしているのかも。
結局、出掛けに勇樹さんに見つかってしまって、お説教。
「こら、春日。こんな夜遅くにどこに行くつもりだ?」
「ええーと……」
「まったくこれだから、油断がならない。ベッドに戻りなさい」
「はぁい」
あらかじめ言ってくれてれば、私達も外出を認めたかもしれないけどね。
でも、娘の夜遊びは親として心配。
春日の友達が、車で迎えに来たらしいが……。
リ、リムジン!?
春日ったら、どんな家の子と友達になったんだろう。
これにはちょっと驚いた。
翌日。
さつきは朝からチョコレート製造機で料理の勉強。
昨晩、抜け出すところをつかまった春日も、おとなしくお勉強。
でも昨日のことがよっぽど悔しかったのか。
ふいにステレオの音楽に合わせて、めちゃくちゃに踊りだした。
「お姉ちゃん、頭おかしくなったの?」
「ははは! 何だ? その振りは」
勇樹さんには好評。
本人もいつの間にかこんなに楽しそう。
そんな春日も、いよいよ大学へ進学するときが来た。
春日が引っ越してしまった後の子供部屋。
なんだか、寂しくなってしまった。
「ねえママ。私も大学に行こうと思うんだぁ」
「あら、さつきはまだ早いんじゃない?」
「うーん、でも私、早く大人になりたいし」
「パパとママももう年だし、早く大人になって安心させてあげたいなぁって思うのよ」
「確かにそうだなぁ」
さつきのこの気持ちはうれしい。
でも、子供たちが大学に行ってしまうと、この家もずいぶん寂しくなるな。
親の私がこんなことじゃ、だめね。
こうしてさつきも大学へと去り。
その晩、春日が電話をかけてきた。
「ママ、私達がいなくなって、さみしくない?」
「いやね。大丈夫よ」
「卒業するまで待っててね。もしかしたら、お婿さんを連れて家に帰ってくるかもよ」
「楽しみだわ」
本当に、子供たちの成長が楽しみだ。