2007
おなかが大きくなった弘美ちゃんです。
「でもどうしようかな。この子が生まれたら、ベビーベッド置くところがないかも」
そうですね。今の家はそこそこ広いけど、住んでる家族が多いから、部屋数が足りないんですよね。
遥ちゃんのベビーベッドも、居間に置いてますし。
「ふぎゃ……」
あ、遥ちゃんから緑の煙。
「はいはい。オムツ替えましょうねー」
「きゃー!」
空飛ぶオムツ。
遥ちゃんを寝かしつけたら、ピアノの練習。
実は弘美ちゃん、どうしても考えたくないことが頭にあるのです。
それは樹君のこと。
図らずも浮気をしたことになって、心中穏やかではありません。
こうしてピアノでも弾いていないと、やりきれないのです。
(はあ……。私、どうしちゃったんだろう。一番好きなのは、かなたさんなのに)
難しいところです。
そんな弘美ちゃんの心は知らず、かなた君は仕事から帰ってきてすぐに、天体望遠鏡を覗いて遊び始めました。
そんなかなた君の後ろに忍び寄る、弘君の幽霊。
弘君、何か思うところがあったのでしょうか。
「お化けだぞー!」
「ぎゃっ!!」
娘婿を驚かす。
(俺の弘美をちゃんとかまってやらない奴は、こうだぞ!)
弘君、娘を心配している割には悪い顔してます。
いたずら好きな性格だったっけか。
翌朝。
出勤前に、遥ちゃんにミルクを飲ませるかなた君の姿がありました。
「弘美はおなかが大きくて大変だろうから、家にいる間は僕が遥の面倒を見るよ」
「うれしいわ……」
かなた君に後ろめたい気持ちのある弘美ちゃん。
「でも、無理しないでね」
「うん」
このあと、かなた君お迎えの車が来て、遥ちゃんを床に放置して出勤していきました。
ちゃんとベビーベッドに入れてほしかった……。
「あ、イリーナちゃん? 私、弘美よ。二人目の子供が生まれることになったの。そっちの赤ちゃんの方はどう? もうお話できるようになったのね」
大学時代の友人に電話して、気を紛らわします。
妊婦は欲求パラメーターが下がりやすく、精神的にも肉体的にも不安定な状態。
そこに樹君のことが加わってきてるんですから、弘美ちゃんも大変です。
そんな今日は、遥ちゃんの誕生日。
身内や友人を呼んで、パーティーを開きました。
「遥ちゃん、おめでとーう!」
ぶーぶーギリギリギリ
呼んだのは友達のイリーナちゃんと、弘美ちゃんの姉と兄達。
あとはかなた君が仕事先からつれて帰ってきた同僚です。
「さーあ、遥。ロウソクふーしようねー!」
「ぱぷー」
遥ちゃん、ケーキよりも麻緒伯母さんのことが気になっているようですよ。
ろうそくを吹き消すと同時に、熱狂から冷める人々。
温度差激しいな。
遥ちゃん成長!
か、髪の毛がないっ!?
鏡で外見を変えました。
うん、かわいいかわいい。
遥ちゃんは、やっぱりお父さん似でしたね。
2007
幼児に成長した遥ちゃん。
ウサギのおもちゃで早速遊んでます。
そのときの二階では。
「う、生まれる~っ!!」
「おはよう弘美。賑やかだね。もう朝?」
かなた君、そんな間近であいさつの手を振ってる場合じゃありませんよ!
ぽこーんと生まれて出てきたのは、かわいい女の子!
やったー! 次の看板娘が生まれたわ。
弘美ちゃんのママにちなんで、「真美」と命名。
この子も、かなた君似なのかなぁ。
弥生ちゃんもやってきて、ガッツポーズ。
「弘美お姉さん、グッジョブ」
弘美ちゃんの出産で、みんな真夜中に起こされちゃったようですね。
夜が明けました。
遥ちゃん、おまるの練習中。
神妙な表情がかわいいですね。
弘美ちゃんは、二度の出産でたるんだおなかを引き締めるためにトレーニング。
仕事が休みのかなた君には、遥ちゃんの言葉のお稽古をしてもらいました。
「パパって言ってごらん。パーパ」
「あうー」
「パパー」
「おお! ちゃんと言えたなー。えらいぞ!」
その調子その調子。
弘美ちゃん、夜には聖司君に手伝ってもらってトレーニング続行です。
弘美ちゃんの生涯願望を、「キャプテンヒーローになる」に変えたので、身体スキルが必要になったんですよね。
「六人の子供を結婚させる」よりも、実現できる確率がずっと高くなりました。
この晩も弘君が出ました。
幸い誰も驚かしませんでした。
幽霊に驚かされるとショック死しちゃうときもあるらしいので、ころあいを見てお墓を公共区に移した方がよさそうですね。
でも、麻美ちゃん達の幽霊が見れなくなっちゃうのは寂しいしなぁ。
「ほーら、おいちいねー」
初めての娘です。
「ああ、この子も大きくなったら結婚しちゃうんだよなぁ」
複雑な父親の心境。
でも、今から心配することないと思いますが。
「さー、お風呂にはいろーねー」
「あっちっちー」
「大丈夫。熱くないよ」
弘美ちゃんも、軽くなった体で遥ちゃんのお世話。
遥ちゃん、この表情。
いい湯加減みたいですね。
真美ちゃん出産後、すぐに「赤ちゃんが出来る」願望を出した弘美ちゃん。
まだ子供がほしいの?
「……樹君……」
……えっ!?
2007
「……」
もぐもぐもぐ
朝から浮かない顔の弘美ちゃん。
長女の真美ちゃんが生まれて、本当なら幸せなところなのですが……。
実は、樹君と会った翌日のことなのです。
「ほら、お母さん」
「あ、ありがとう」
かなた君が真美ちゃんを渡してきました。
そっと抱き取る弘美ちゃん。
「よしよし……」
「どうしたの? なんだか元気ないね」
「大丈夫。昨日夜遅くまで起きていたから、寝不足なのよ」
心配してくれるかなた君ですが、
実は彼、願望に「弥生を口説く」なんてものが。
成長して大学に行った弥生ちゃんですが、たしかにヤングアダルトになって素敵な女性になりました。
だからといって、この願望は……。
財産願望って、こんな浮気心を持つような願望だったっけ……?
一方の弘美ちゃんの願望は、「樹を招待する」、「樹とダンスする」を出しています。
これは早くも、夫婦崩壊の危機でしょうか。
弘美ちゃんの心の中で、樹君を占める割合が、日増しに高くなっているようです。
(私、やっぱりまだ樹君のことが好きなんだわ……。どうしよう)
「さあ、ママのところに歩いてきてごらーん」
「んしょんしょ……」
かわいい遥ちゃんのあんよのお稽古をしていても、なんとなく上の空。
「さあ、ミルクの時間ですよー」
真美ちゃんにミルクを上げていても、気もそぞろ。
それどころか、ほかの男性のことを考えながら子供たちの世話をすることに、自己嫌悪を感じたり。
「ママ……。もう少し長生きしてくれてたら」
今一番相談したい人は、もうこの世にはいません。
その日の晩。
遥ちゃんの事を思いながら、ぷいと一人、家をあとにする弘美ちゃんの姿がありました。
2007
朝です。
目覚めたかなた君、隣に弘美ちゃんがいないことに気がつきました。
「もう、起きてるのかな?」
しかし、家の中のどこを探しても、弘美ちゃんはいません。
ころもいなくなっているようです。恐らく弘美ちゃんについて行ったのでしょう。
かわりに、大学に行った弥生ちゃんが、お婿さんを連れて帰ってきていました。
弥生ちゃんに、ほのかな恋心を抱いていたかなた君。
彼の淡い思いもすっぱり終止符をうちました。
「ぱーぱ。みゆくー!」
弘美ちゃんの姿が見えないのを気にするかなた君ですが、子供達のお世話があります。
探しに行く時間はなさそう。
パパにミルクをもらった遥ちゃん。
ごくごくちゅっちゅ
「……?」
何かに気づいたようです。
「まーま?」
「はい、かなたさん。真美ちゃんが泣いていましたよ」
「ああ、すみません」
弘美ちゃんはどこに行ったのでしょう。
心配を通り越して、怒りすらわいてくるかなた君です。
親がなくとも子は育つ。
今日はくしくも真美ちゃんの誕生日です。
聖司君、弥生ちゃんに、お婿さんの克彦さんを加えての四人でささやかにお祝いです。
真美ちゃん成長!!
ス、スキンヘッド!? タキシード!!?
衝撃の一瞬。
速攻で服と髪形を変えました。
うんうん。
これで女の子らしく見える。
真美ちゃんもどうやら、かなたさん似みたいですね。
成長した真美ちゃんには、早速あんよやおしゃべりの稽古です。
その前に、ちょっと遥ちゃんと遊ぶかなた君。
「ほーら、こしょこしょー」
「きゃーはは!」
「さーあ、おしゃべりのお稽古だよー」
「ぱー……」
「パパって言えるかな?」
「ぱぱ……」
「そうそうそうだよ! 真美はおしゃべりが上手だね!」
パパに相手にしてもらえない遥ちゃん。
おもちゃにも飽きて……。
「ねこたん!」
「ぎにゃー」
カーラ、すごい顔してます。
「かゎーいーの」
カーラ、しょうがねぇって顔のまま、耐えてます。
その日の晩、かなた君あることに気がつきました。
「そうだ。弘美の携帯に電話をかければいいんだ……」
そんな簡単なことに、なぜ気がつかなかったのでしょうか。
「バカみたい……」
2007
いきなりですが、新居です。
弘美ちゃんから連絡をもらった、かなた君。
子供達を連れて、この家の前にやってきました。
家の前で待っていたのは、まぎれもなく弘美ちゃん。
いったい、いつの間にこんな素敵な物件を見つけていたんでしょう。
お家は、Loco's-TS2 housingさんからです。
ころも家の前で待っていました。
早速寄っていく、真美ちゃん。
「あ~。かーいーのっ!」
ぎゅっと抱きつかれて、ころ、困っています。
「ばぁー。ママですよー。大きくなったわね、真美ちゃん」
「きゃー!」
弘美ちゃん、いつの間にか成長していた真美ちゃんとご対面。
「さあ、新しいおうちに入って、お昼寝しようねー」
弘美ちゃん、早速子供達のお世話に忙しく働きます。
かなた君も仕事に行く時間になって、弘美ちゃんに家出のことを聞きだす暇がありません。
「はい、おやすみー」
「まーま……」
そして、今日は遥ちゃんの誕生日でもあります。
弘美ちゃんのお友達や兄弟親族、引越しの挨拶に来た近所の人たちも加えて、みんなでお祝いです。
なぜか左上の三人がカメラ目線ですが。
こっち見るなよ……。
仕事帰りのかなた君。
彼一人、お誕生日どころじゃないようです。
ろうそくを吹き消して、さあ、緊張の一瞬!
「遥ちゃん、それっ! 成長だ!!」
どさくさにまぎれて、隣に立ってる人にダメだししてる赤い人が……。
今は君の好みなんて聞いていませんよ、弘樹君。
はい、遥ちゃん成長!
もしかして、あんまり長髪は似合わない顔かな。
でも、黒髪がとってもよく似合う男の子に成長しました!
「僕、はるかって言うの。よろしくね」
「ふーん。まあ、仲良くしてあげてもいいわよ」
こちらの女の子は、弘美ちゃんの大学時代の友人イリーナちゃんと修太君の娘です。
両親の似なくていい所が似てしまったという、ちょっとかわいそうな……。
遥君よりちょっとお姉さんですが、これから仲良くしてあげてね。
かなた君、もくもくと誕生パーティーの後始末です。
まだお客さんもいることだし、弘美ちゃんと話し合うのは後になりそう。
弘美ちゃんも体の具合が悪いらしく、早めに布団に入ってしまいました。
それでもかなた君は我慢強く待ちます。
夜中過ぎ、かなた君がお夜食を作って配膳していると、弘美ちゃんが起きてきました。
「弘美、その格好……」
もしかしなくても、妊婦服。
当然、かなた君にはその心当たりはまったくありません。
「もぐもぐ……。えーっと、そのぅ……」
「……それ誰の子……って、大体想像つくけど……。いったい、どういうつもりなの……?」
「うぅ! そ、それは……」
「僕、明日仕事に行ったら、もうここに帰ってこないかも……」
「うぅ! そ、それも……」
「ねーねー。何の話してるのー?」
遥君、目の前で繰り広げられているのは、身も凍るような修羅場なんだよ……。