2007
「パパ……。またぁ?」
相変わらず、(義理の)父親からの電話が絶えない結衣ちゃんです。
雪だるま乱立。
このまま、この冬のうちに何体の雪だるまを作れるか、挑戦してみるのも一興か。
レポートもやって、課題も終わっています。
農作業のない暇な冬を、雪だるま建設に注ぎ込むことにしました。
手の空いている学生を捕まえて、こてこて雪玉をつくっていきます。
しかし。
今年の冬の寒さは、尋常じゃなかった。
「こ、凍る……」
「結衣ちゃん、大丈夫?」
健史君が、凍った結衣ちゃんをドライヤーで助けてくれました。
「うう……。ありがと」
「今、暖炉に火を入れてあげるからね」
「うん。ありがと」
通りすがりの学生「うわ……。何この家」
これでもかってくらい、雪だるまがたくさんいます。
まだまだ増やすよ。
夜にはペンギンが遊びに来ました。
「クルルクルル」
これだけたくさん雪だるまがあるんだから、ペンギンも大群で押し寄せてくれると、面白かったかもしれない。
ペンギンの次は、なぜか真紀ちゃん達のお父さんが現れ、勝手に家の中に入ってきました。
「真紀と尚人は、うまくやっているかな」
ちなみにそのころの外。
……お父さん、雪だるま壊して来たろ!
見るも無残です。
息子と風呂場で談笑する父。
「父さん、僕の彼女を紹介するよ」
「おお、それはうれしいな!」
雪だるま、こんなに増えました。
壊された雪だるまも含めると、16体くらいかな。
雪もたくさん積もったままだし、まだまだいける。
またペンギン来てる。
外の寒さで凍りつかないよう、時々暖炉で体を温めながらの、寒中耐久雪だるま建設リレーです。
翌朝。
「今気づいたんだけど、私、成績がちょっと足りなくてさ~。尚人君、私と違って頭いいでしょ?」
「だから、課題やって、って言いたいんだね。いいよ」
真美ちゃんのたっての願いなら、断るはずもない尚人君。
「心理学のレポートって、結構面白いなー」
ああ~。
雪が消えてしまいました。
雪だるま建設も、これで終了ですかね。
一番最初に作った雪だるまは、もう完全に溶けちゃって跡形もありません。
残念だぁ。
「課題やっておいたよ、ちゅ!」
「くう~、しびれるわぁ」
相変わらず、ラブラブな二人です。
「いいなぁ、真美ちゃん」
結衣ちゃんもあきれてますが、やさしく微笑んでくれてます。
雪だるまも作れないとなると、残りの冬はどうやって過ごしましょうかね。
全部フリーウィルってのも悪くないな。
こちらは、微妙な関係の二人。
はたして、結衣ちゃんは本当に健史君のことが好きなのでしょうか。
2007
寒中水風船合戦。
体が余計冷えるから、やめた方がいいのに。
真っ青になっても、しりませんよ!
そして、事件は突然起こりました。
水風船合戦で著しく、心地よさの下がった真紀ちゃんが、「体が凝り凝りだよ」と叫んでいたら……、
「!!!!?」
おもむろに、結衣ちゃんが健史君をロマンチックに抱擁。
「ちょっと!!!! これ一体どーゆうことよっ!!!!!?」
あ……。
健史君だけ、恋に落ちた……。
結衣ちゃん、重ね重ねなんて罪なことを。
直輝君はそんな修羅場を、さらっとスルー。
「あー、腹減った。トマトジュースでも飲もうかな」
「この浮気者ーーーっ!!!」
ベッチーン!!
「う!?」
「あんた私か結衣ちゃんか、どっちが好きなのよっ!! はっきりしろ、このナス野郎!!!」
「な、ナス……」
「私もおなか空いたっと……」
こら結衣ちゃん!
こうなったのはあなたのせいなのに、あなたも他人ヅラですか!
「誰がナスだっ! このインゲン女っ!!!」
ベッシーン!!
「!?」
快活1の健史君が、黙って殴られるわけはなく……。
しっかりとお返しのビンタです。
「インゲン……」
「なんで? 私が何かした? むしろされたほうなのに……」
真紀ちゃん、さっきまでの威勢はどこへやら。
そうだよねぇ。
一番悪いのは、結衣ちゃんかもねぇ。
あーあ。
真紀ちゃんと健史君、完全に破局です。
結衣ちゃんはのんびり床掃除している場合ではないかと。
「はー。やっと綺麗になったー」
「うえ~ん! 真紀が僕をぶったーぁ!!」
仕返しはしたものの、殴られたことがよほど悔しいのか。
健史君、泣く。
「泣きたいのは、むしろこっちよ……」
先に泣かれちゃうと、こっちは我慢するしかなくなりますよね。
「本当、サイテー……」
ソファーでブーたれる真紀ちゃんの独り言を、直輝君は相変わらずの他人ヅラで、聞いてました。
さて、突然ですが、今夜は新年パーティーの日です。
それぞれ自分の親を招待したのですが、呼ばれてもいないこの人まで、勝手にやってきました。
「何たる偶然。私も今夜はたまたま暇だったのだよ」
「暇じゃなくてもいいのに……」
ところが、ある意味牛以上にトラブルメーカーなこの教授。
早速結衣ちゃんを小突いて、泣かせてしまいました。
「いいかね。君みたいな若い者が、そんな不遜な態度を大人にとってはいかんのだよ」
「あいて」
また、小突かれました。
性格悪いな。
「なんでなのよ~」
教授の虫の居所が、悪かったとしか。
結衣ちゃんが泣いてる隣で、中嶋家のご面々が到着。
あっ、しまった!!
真美ちゃんと結衣ちゃんの親を呼ぶのを忘れていた!
がーん……
まあ、中嶋家は数は多いので、いっか。
「今の子、ちょっとかわいいじゃないか」
行彦さん、結衣ちゃんにハートを飛ばしてました。
こういう子が好みですか?
今日は特別な日だから、とっておきのチョコレートケーキを出しました。
「はぐはぐ。これおいしー!」
「兄ちゃんの彼女が作ったんだぞ。うまいだろ、那智」
そして、この日は何もかもが特別だったからでしょうか。
直輝君が……。
「ちょっと右手いい?」
「? いいけど?」
ちゅ!
ええっ!?
しかし両者とも、ハートは出ず。
なんだったんだ、今のは。
直輝君、真美ちゃんがよかったはずなのでは?
結衣ちゃんは彦二さんとおしゃべり。
「私も実家で家庭菜園始めたんです。残してきた畑、ママ達がちゃんとやってくれてるかどうか、心配ですけど」
「小さな畑なら、大丈夫じゃろ」
「ひょっほ~!! チューされちった♪」
ガンガンガン
突然、真紀ちゃんが一人で騒ぎ始めました。
「ちょっと真紀! ウルサイ!!」
佳織さんと幸人さんが耳を覆っています。
「真紀は大学に入って、ここがどうかなったんかい?」
こらこら、何を言い出す。
仮にも、あんたの孫ですよ。
「はっはっはー。何が始まるんだい? なかなか楽しいじゃないか!」
騒いでいると、中に加わりたがるのは、こいつ。
しまいには、直輝君も一緒に騒ぎ始めて、騒音はピークに。
これはたまらない。
「なんだい? もう終わりなのかね」
鍋たたきは、始まったときと同じく、突然やみました。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん、私と同じ髪型だね」
「うん。そうだね」
そして再び、騒音がカムバック!
今度は佳織さんです。
「いいよ! 母さん!!」
尚人君は手拍子までとっています。
「イエー!! 楽し~!!」
この謎の行動は、一体何なのか。
その答えは外にありました。
この人。
新年パーティーの特別ゲスト、タイムのおじいさんです。
この人を歓迎するための、大騒ぎだったようですね。
2007
さあ、いよいよ新年パーティーも大詰めです。
タイムのおじいさんを、家の中に呼び寄せました。
あ、結衣ちゃんと教授が、またなんかもめてる様ですね。
じいさん、手にしたおどろおどろしい砂時計をじっと見る。
「ふむ……。まだじゃな」
その砂時計、死神が持ってるやつと同じな気が……。
てんで勝手に盛り上がってる人たち。
教授、まだ結衣ちゃんに怖い顔してます。
あ、この教授、アンドリュー教授というそうです。
と、ここで。
「人の彼氏に手を出すなんて、ちょっとないんじゃない!?」
「えっ? でも私……」
結衣ちゃんと真紀ちゃんが、不穏な気配。
じいさん、そんなに砂時計が気になるか。
ああ!
「もうあんたなんか親友じゃないっ!」
「こっちこそ、お断りですよーだっ!」
ああ……。
そして今度は、ナッチがお玉と鍋でガンガンガン!
「ウルサーイ!!」
タイムじいさんは、まだマイペース。
ところが今度は、この騒ぎがみんなにも伝染。
いっせいに鍋とお玉を取り出しました!
とんでもない騒音。
その中心で怪しげな踊りを踊るタイムじいさん。
「ほれ、みてみーい♪ 時間じゃ!!」
さあ、いよいよです。
タイムじいさん、ベイビー・ニューイヤーに変身。
直立不動浮遊。
「新年おめでとうでちゅ~!」
うん。
おめでとう。
でもね。
なんか皆さん突然熱狂から醒めて、真顔でベイビーを見てるんですが。
この温度差は何?
そして、すぐに皆、思い思いの方向に、散らばって行ったんですが。
やはりベイビー、気合の入ったスマッスルは誰にも注目されず。
普通ここからが、盛り上がる所なんじゃないんですか?
思い出したように、佳織さんがガンガンガン。
「新年明けましておめでと~!!」
「母さん、それはもう終わったよ……」
だから、終わったというに!
2007
前回の新年パーティーで、結衣ちゃんと不仲になった教授。
「まったく、最近の若者には敬愛の精神というものが足りない!」
「大人の怖さというものを、思い知るがいい。ふははははっ!!」
結衣ちゃんへの怒りに燃えながら、新聞泥棒……。
まあ、それ古新聞だから、ごみ捨ての手間が省けたわ。
そして、日があけて。
「夜明け前に盗って行ったのは、よく見たら昨日の新聞だったのだよ! ははははは」
また来やがった。
今日の新聞も盗って行っちゃいました。
「んぐんぐ……」
朝からストロベリージュースを一気飲み。
そうです。
ストロベリージュースには、激怒状態を鎮静化させる効果があるのです。
結衣ちゃんと、果ては健史君への激怒状態を、解いてしまいたいのです。
一つ屋根の下で暮らしている仲間なんですからね。
さあ、春になりました!
早速畑仕事です。
まずは肥料を撒きます。
「んちゅ。畑仕事がんばろうね」
「うん! がんばろ!」
意外にも、ロマンス願望の真美ちゃんと知識願望の尚人君が、一番安定したカップルです。
音楽が流れていたので、仲良しの二人は一緒にダンス。
それを見ていた結衣ちゃん。
「私達も、踊ろっか」
「う、うん……」
まだ微妙な感じの二人。
でも、この二人の仲は、半ば認められたも同然なのではないのでしょうか。
「健史君さ~、ちょっと髪形変えてみたら? ぶっちゃけ、その髪型、似合ってない!」
「そ、そう? じゃあ、変えてみようかな……」
肥料を撒き終えたら、次は種まきです。
スキルアップの効果があるナスジュースを造るため、ナスを多めに植えておきます。
冬の名残の雪だるま。
次の冬まで、バイバイ!
日が暮れても、畑仕事は続きます。
季節はずれの蛍がちらほら。
翌日の朝のこと。
起き抜けにこの二人。
「真紀ちゃん、ちょっと右手いい?」
「え? なに?」
ちゅ!
「うひゃ!?」
またまた、突然の行動。
そう。
春は、恋の季節なんです。
「健史君、おはよ~」
「おはよ」
こちらも仲良し。
これで、万事丸く収まったんでしょうか。
彼らの恋愛は、ほとんどフリーウィルだったんですが、こうもうまく行くとは思いもよりませんでした。
そう、春は恋の季節。
結衣ちゃんのほうも、ようやく健史君が好きになり始めたようですね。
さあ、皆仲良く、畑仕事に精を出しましょう。
今年もまた、雑草地獄が待っています。
「やあやあ、君たち。元気にしとるかね?」
また教授がやってきました。
でも皆は、これから学年末試験。
おとといきやがれ。
そして、皆さん無事に、二年生を終了です!
それぞれパートナーを見つけたことだし、残り二年間は、実り多きものになるといいですね。
2007
雑草だらけです。
畑が広いので、一人での雑草むしりはエンドレス。
そして、彼らの家にもついにこの人が来てしまいました。
ストリーカーです。
「ほらほら、見て見て!」
この部屋には野郎しかいないので、絶対見てくれないと思います。
いや、そういう問題ではありませんが。
「ほらほらって!」
健史君、顔を背けてます。
結局ストリーカーは、誰にも注目されることなく、帰って行きました。
去っていく背中が、ちょっぴり寂しそうに見えた。
もうこないでね。
「結衣ちゃん、雑草むしり手伝うね」
「うん。ありがとう」
喧嘩をしていたこの二人も、また仲良しに戻りつつあります。
そんな結衣ちゃん、しょっちゅう健史君のまわりをうろうろするようになってます。
「見慣れてくると、あの細目もかわいいかなーって」
そしてラマは、一マスの階段の踊り場を封印。
「おまえ邪魔だっつーの!」
春なので、蝶々もひらひら。
「よし、捕まえてやる」
「よっと!」
いつも思うんですが、ビンで捕まえるのって難しそう。
それ以前に、虫をつぶしちゃいそうで、怖いです。
「こんなに採れた」
三匹も捕まえました。
「はい、真美ちゃん。春をプレゼント」
「どうしたの? 突然……。ってこれって……」
「むし……」
風流はあるものの、プレゼントとしては、ちょっと微妙かな。
虫だもんね。
学生達には、畑仕事の合間にレポートを書かせます。
レポートで楽しさが下がったら、畑仕事で回復。
農業って、学生にやらせると色々便利ですね。
……そういえば、ラマって来ていたんだっけか。
誰も構ってくれないので、トイレで課題をやりだす始末。
健史君もレポート。
今の所、全員成績は最優等です。
この調子で、がんばっていきましょう。