2007
弘美ちゃんは仕事、子供達は学校に行って、樹君ところはお留守番。
「ころ、なに吼えてんだ?」
ステレオをつけて樹君が勉強していたら、ころがステレオにあわせて歌いだしました。
「わおーん、おんおん♪」
「ははは。変な歌」
のんびりした午前遅く。
子供達が学校から帰ってきました。
ちょうど雨も降ってきて、結衣ちゃんは水溜り遊び。
「結衣は子供だねー」
「子供だもん」
弘美ちゃんも仕事からお帰り。
雨に濡れながら、ただいまの歌。
「ただいま~おかえり~♪」
家に入ると、樹君に電話。
女の人からです。
「樹は、仕事に出掛けてます」
「樹君って、結構もてるのかなー……。どの辺がいいんだろ。というか、私って樹君のどこが好きなんだろう」
改めて考えてみても、よくは分かりません。
多分、全部が好きなんでしょう。
真美ちゃんが、バイト先から友達を連れて帰ってきました。
チームマスコットのお仕事です。
にわかに家の中に、ラマが二頭……。
樹君が仕事から帰ってきました。
「ただいまー。なんか家の中が賑やかだな」
ラマが二頭と、弘美ちゃんの仕事の同僚と、いつの間にか家の中に上がりこんできたお客さんで、ごった返してます。
「ねぇ、樹君。私考えたんだけど……」
「何?」
というか、周りがうるさい。
「私ね……。あー! 周りがうるさい。二階で話しましょ」
それがよさそうです。
「で、話って何?」
「私、やっぱり樹君と結婚するなんてこと、考えられないの」
「樹君、結婚なんて本当はしたくないんでしょ。私のために、結婚しようって言ってくれただけでしょ」
「う~ん……」
「結婚している樹君なんて、樹君らしくないよ」
「そこまでいうか」
「私も、結婚向きの性格じゃないって分かったし、自分なりの生き方を探していこうと思うの」
「一回結婚に失敗したくらいで、結婚向きじゃないってのは早急だと思うけどな」
「そうかしら。私、夫がいる身で別の男の人の子供を産んだくらいよ」
「俺達、大学時代にもっとよく話し合うべきだったんだな。そうして別れていれば、きっと結衣も生まれなかったんだよ」
「私、結衣を得たことは後悔してないけど」
「俺はしてるよ。そのために、お前を今みたいな状況に追い込んだんだから」
「……それじゃあ、俺は明日にでも自分のうちに帰るわ」
「うん……」
「でも、たまには遊びに来てね。いつかは結衣に本当のパパのこと、教えることになるだろうから」
「はいはい」
「これで俺達、お友達に逆戻りってか」
「そうなるわね。でも、親友にはなったよ」
「ありえねー……」
2007
翌朝です。
「じゃ、これ食ったら帰るわ」
「うん。色々ありがとうね」
そのとき、前夫かなた君からまた電話。
すごいタイミングですが。
今日、息子の遥君が弘美ちゃんの家に訪ねてくるそうです。
「それじゃ、元気でね! 体には気をつけてよ」
「おう」
パソコンで引越し先を見つけて……、
樹君は帰って行きました。
といっても、お向かいに見えてる家に引っ越すだけなんですが。
通り隔ててるだけなのに、タクシー使うなよ……。
そしてその夜。
とうとう遥君が、弘美ちゃんの家にやってきました。
「ママ、久しぶり! 元気にしてた?」
「もちろんよ。まあまあ、遥ったら、すっかり一人前ね!」
久しぶりに腕に抱くわが子。
弘美ちゃん、感無量ってとこです。
ところで遥君の顔は、弘美ちゃん似のようです。
「お兄ちゃん! おひさ~」
「真美? すごい格好だな……」
仕事変えさせたほうが、いいでしょうか。
遥君と一緒にテレビでスポーツ観戦。
「ねぇ、遥はこれからどうするつもりなの?」
「ダウンタウンに一軒家借りて、住むつもり」
都会的な格好していますもんね。
テレビの後は、くすぐりあって遊んだり。
「遥、彼女とかいないの~?」
「大学時代はいたけど、別れちゃったよ」
「またいい人見つけるから、平気」
「それもそうねー」
遥君に、サラダを作ってあげました。
「げふっ」
「遥、食事中にゲップはお行儀悪いわよ」
遥君、きれい好き1ですからね。
「ところでママ。今一人なの」
「うん」
朝までは、樹君がいましたけどね。
それより、真美ちゃんのラマ姿が目立ちます。
「もしよかったら、家に住んでもいいのよ。真美と結衣が大学に行っちゃたら、ママところだけになるから」
「うーん。でも僕、一人暮らしがしたいんだ」
「それなら、仕方ないわね」
今晩から、また一人寝です。
「ちょっと寂しいかな。ま、仕方ないか」
新しい恋人を見つけるってのも、ひとつの手ですが。
その後遥君は、結衣ちゃんの部屋のロボットでひとしきり遊んでから、帰って行きました。
2007
さあ、朝ごはんですよ。
休日の朝は、のんびりしていいものです。
「やーねぇ。今日は雨だわ」
「え~? 最悪。今日バイトだってのにぃ。空気が湿気てると、着ぐるみって臭うのよねー」
雷で、一瞬家の中が明るくなりました。
ものすごくゴロゴロ言ってます。
「家の木とかに落ちない?」
「それより停電が嫌だよ」
「ママねー、仕事先でお昼ご飯作ってたら、双子の卵見つけちゃったんだー」
「へー。珍しいね! そのうち、何かいいことあるんじゃない?」
「かもね」
「私ね、この間服買っちゃった! 250$もしたんだよ!」
「え~、高っ」
「真美、そんなにお小遣い持ってるの?」
「バイトで貯めたんだよ~ん」
弘美ちゃんと結衣ちゃん、まったく同じ顔で驚いてます。
親子だなぁ。
朝食のあと。
「あら、日が射してきたわ。雨が上がるのかもね」
夏の日の、一瞬の嵐でしたね。
雨が上がって、真美ちゃんが早速したこと。
望遠鏡で、覗きです。
「お~? あの人、一人でなにやってんだろ。きひひっ」
そんな子に育てた覚えは……。
せっかく雨が上がったけど、あまり活発でない結衣ちゃんは、テレビの前です。
ほっといたらずっと見てます。
もうちょっと動いて、新しい友達とか彼氏とかを見つけてきてくれればいいんですが。
弘美ちゃんは、ころをお洗濯。
「きれいになろーねー」
入浴中、いい子にしてくれました。
ところが弘美ちゃん、お風呂を壊す。
どれだけ怪力なのかと。
「ママ、私お風呂に入りたいんだけど」
「ちょっと待ってね。今直してるから」
しかし、結局弘美ちゃんは真美ちゃんに強引に外に出されてしまいました。
直後に、脱衣所に飛び込んできた見知らぬ男性。
どうやら真美ちゃんに、覗きをされていた人みたいです。
怒鳴り込んできたのはいいけれど、今その扉を開けたら、あなたが覗きになりますよ。
「あ、かなたさん? 私、弘美です。昨日の夜、遥が来たわ。すっごく背が大きくなちゃってて、びっくりした。本当に立派になったわねぇ」
「遥、ダウンタウンで一人暮らしはじめるんですってね。ブルーウォーター村からなら近いから、私毎日でも会いに行っちゃいそう。ところでね、今かなたさんはどういう風に暮らしてるの?」
弘美ちゃん、遥君に会えてよっぽど嬉しかったみたいです。
この笑顔!
「……え? 一人暮らししてるの? 私、かなたさんは弥生ちゃんと……」
その件に関しては、かなた君の口は重く、自分では言いたくないから遥君に電話で聞いて欲しいとの事。
弘美ちゃんの心に、ふっと影が射します。
「遥? ねえ、パパったらどうしちゃったの? 一人暮らしって……」
(ちょっと長い話になるけどいい?)
「私なら、いいわよ。聞かせて」
弘美ちゃんの従兄弟聖司君の、娘の弥生ちゃん。
かなた君が淡い思いを寄せていた女性。
でも、彼女には婚約者がいて。
かなた君は弘美ちゃんと別れた後、思い切って彼女に告白しました。
そして、弥生ちゃんもそれを喜んでくれたのです。
(パパもママと別れた後だったから、弥生さんに余計気持ちが傾いていたんだと思うんだ)
そう、遥君は言います。
かなた君も弥生ちゃんの気持ちを確認し、弥生ちゃんの婚約者を説得しようとしたそうです。
ところがその矢先に、弥生ちゃんのおなかが大きくなって妊娠が発覚。
「!?」
相手は、婚約者さんだったようで……。
弥生ちゃんがかなた君に告白される少し前に、関係したらしく……。
結局かなた君は、弥生ちゃんと結ばれることはなかったのです。
いったいどれだけ波乱万丈なんですか(プレイヤーが弥生ちゃんを妊娠させたことをど忘れしていたのが、そもそもの原因ですが……)。
「じゃ、じゃあ……。パパ、ずっと一人だったの……?」
弘美ちゃんも、この事実に胸が張り裂けそうです。
(パパに会ってみる? それなら、僕からレストランに、ママの名前で予約入れとくから)
「……今の話し全部、空耳とかじゃ、ないよね……」
大変なことになりましたね。
プレイヤーの物忘れは、シムたちにとっては不可抗力です。
2007
「あ……、かなたさん? 今さっき遥に電話で聞いたわ。ねぇ、久しぶりに二人で食事に行かない?」
ある意味、遥君が家を訪ねてくる前に樹君と別れたのは、正解だったのかもしれません。
「でも私、どんな顔してかなたさんに会ったらいいんだろ……」
難しいところです。
「やあ、久しぶり。元気そうで何よりだよ」
「あ、かなたさんも健康そうで何よりだわ」
かなた君は、別れたときとそう変わっていませんでした。
めがねをコンタクトに変えて、髪形を変えていたことくらいでしょうか。
「真美と結衣は元気にしてる?」
「うん。真美はバイトで忙しくしてるし、結衣もまぁまぁよ」
「今日は僕がおごるから」
「え? いいわよ。私の名前で予約してあるし……」
「まぁそういわず」
「じゃ、おごってもらおうかな……」
「……」
「…………」
「君は元気にやってた? 僕の方はまぁ、遥から聞いたと思うけど、散々だよ」
「私は……、あはは。内職でブーケ作ったり、ブーケ作ったり、ブーケ作ったり……」
非常に居心地が悪い弘美ちゃん。
もう笑っているだけで、精一杯です。
「ねぇ、かなたさん。私達、もう一度結婚するって言うのは、ダメかしら」
「…………」
「ダメよね……。私が悪いんだものね」
なんか、向こうの方に変なお客さんがいる……。
最近リバーブロッサム・ヒルズにできた、怪しげなサロンの犠牲者ですが。
二人とも、それぞれの好物を注文しました。
弘美ちゃんはロブスター。
かなた君はスパゲティーミートボール。
しかし、この端の席は何か悲しすぎる。
「遥はどうやら、好きな人がいるようだよ」
「……あら。私にはいないようなことを言ってたけど」
「まだ片思いなのかもしれないな。ちょっと心配だよ。何せ僕の息子だから」
「…………」
「がつがつ」
かなた君、ヤケ食い?
こんな食べ方する子じゃなかったと、思うんですが。
結局弘美ちゃんはほとんど料理に手をつけられないまま、かなた君のほうが先に食べ終わってしまいました。
「僕先に外に出て、タバコ吸ってるから」
「うん……」
「今日はありがとう」
「うん。会えてよかったよ」
弘美ちゃん、とりあえずはかなた君を家まで送っていって、別れました。
家に帰るとすぐ、かなた君から電話がありました。
「また、一緒に食事に行こうね。今度は子供達もつれて」
デートした直後に、「この間のデートはすごかったです、これからまたご一緒できませんか」コールってよく来ますよね。
今行ったばかりだろう! ってのに。
「……ふう。なんだか、すごく疲れた……」
さて、ロマンス願望の真美ちゃん。
携帯を手に入れた彼女は、早速それを使ってバイト仲間の男の子を呼び出しました。
「何? 急に呼び出したりしてさ」
「何って何よ。せっかく乙女が告白しようと、やっとの思いで電話したって言うのにさ!」
「えっ……?」
はい、ファーストキス。
ロマンス願望の真美ちゃん、ついに活動を開始したようです。
この男の子とは、バイトも一緒とあって、すぐに仲良くなったのでした。
「君もファーストキスだった? ねぇ、そうでしょ?」
「なに言ってんだよ。違うに決まってんだろ!」
しかしロマンス願望の真美ちゃん。
ファーストキスをしたこの日は、一人とだけではおさまりません。
早々にラマな彼とは、さよならをして……。
「あ、私真美。話があるから、ちょっと家に来て!」
いつぞやの日に、結衣ちゃんが呼び止めてくれた男の子ともチュウ。
この子のハートもいただきです。
果たして真美ちゃんは、ティーンの間にどれだけの恋人が出来るんでしょうか。
そのころの二人。
弘美ちゃんは外出で疲れて、結衣ちゃんは一日中テレビ見て疲れたようです。
結衣ちゃん、こんなんでいい彼氏ができるのかな。
「う~ん……ぐしぐし」
今夜は何かと、考えることが多すぎた日でした。
かなた君が健康だったのだけは、何よりだったかもしれません。
「二人も同時に好きになると、たーいへん……むにゃ」
こら!
どんな夢を見ているんだ!
真美ちゃんは悪乗り。
「かーわいい! 捕獲しちゃうゾ!!」
「いてて、いてぇって!」
抱きしめる。
「ぜぇぜぇ。お前、めちゃくちゃ力強いのな……」
「だって、私の夢はプロスポーツ選手だもん!」
まあ、こちらもこちらで、色々あります。
2007
「ふう……」
蒸し暑い夏の夜のこと。
「はぁ……」
なんとなく落ち着かない、弘美ちゃんです。
「待ってても、電話が来るわけないか……」
「もしもし。私、弘美です。かなたさん?」
自分から電話をかけることにしました。
「ええっと。そのぅ、元気してた?」
昨日会ったばかりですが。
「え? 竹中さんから電話があったって? 誰、それ」
「ええ!? ちょ……竹中さんって。竹中樹のこと!? なんで竹中さんから、かなたさんに電話があったりするの!」
どうやらかなた君は樹君と面識があるようです。
「いつ会ってたの? どこで?」
「はい……。分かりました。ダウンタウンのフタモラウンジね。明日行きます……」
日曜の朝の結衣ちゃん。
「ぷくぷくぷく~。せんすーい!」
「はっぷはっぷ! おかしら、待って~」
お風呂場で遊んでました。
「結衣ー? ママちょっと出掛けてくるから、お留守番頼んだわよー!」
「イエッサー! 了解で~す!」
弘美ちゃん、かなた君と顔を合わせました。
「どうする? 二人同じものを頼もうか?」
「うんうん」
いきなり真顔に戻るかなた君。
怖いから、その顔やめて。
「で、竹中さんから電話があったんだけど、結局君達、ダメだったみたいだね」
「ええ~と。何で知ってるわけ?」
「弥生さんに振られた後、目が覚めてね。僕のするべきことは、まず竹中さんの家に怒鳴り込むことだと思った」
「彼……逃げようとしたでしょ」
「うん。……逃がさなかったけど」
「はぐはぐ。このライム風えびのたたき、結構いける……!」
「で、事の次第を説明して、責任を取れと言い寄ったんだ」
「それで、突然結婚しようだなんて、言い出したのかしら」
「そうだと思うよ」
「!?」
席を立つと……。
弘美ちゃん、太ったね。
帰ったら何よりもまず、ダイエットですね。